NEDO 高性能・低コストの蓄電池の研究開発に着手

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2021年6月17日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、現行のリチウムイオン電池(LIB)を性能・生産コストの両面でしのぐ蓄電池の研究開発事業「電気自動車用革新型蓄電池開発」をスタートしたと発表した。産学官が連携した、材料開発から電池設計・試作や特性評価・解析まで対応する共通基盤技術の研究開発で、今年度からの5年間、事業総額は110億~120億円の予定だ。

 自動車の電動化が進展する中、車載用バッテリーは利便性(航続距離、充電時間など)と高い生産コストが普及への課題で、高エネルギー密度化による性能向上とコスト低減が強く求められている。現行LIBは、エネルギー密度と安全性がトレードオフの関係にあり、バッテリーパックが車両コストの約3分の1を占めるといわれ、さらに電極活物質や電解質に使われるリチウムやコバルトは調達が困難になる懸念がある。

 今回は、前プロジェクト「革新型蓄電池実用化促進基盤技術開発」の成果を踏まえ、エネルギー密度、安全性、日本のオリジナリティが高い「フッ化物電池」と、安全性と低コスト化に有利な「亜鉛負極電池」をターゲットにする。 

 資源制約や調達リスクの少ない元素を活用した高性能・低コストの電極活物質・電解質を開発し、それらを用いた電極構造の開発やセルの設計・試作、そして特性評価・解析に対応した共通基盤技術の研究開発を行う。またその評価結果をもとにセルの充放電性能などをシミュレーション予測する技術を開発し、事業終了後も参画企業が実用化開発を継続する中で、バッテリーパックとしての実用化の達成可能性を総合的に評価する。

 委託先の代表機関は京都大学で、素材関連は旭化成、昭和電工マテリアルズとダイキン工業、電池関連はパナソニックと日本電気、自動車関連はトヨタ自動車、日産自動車と本田技術研究所、そして東京工業大学や産業技術総合研究所をはじめとする17の大学・研究機関が参加し、NEDOはこれらプレーヤーの英知を事業内で好循環させるマネジメントを行う。自動車産業や蓄電池産業の競争力維持・向上につながる革新的な車載バッテリーの実用化を実現する、技術的なブレークスルーの早急な創出を目指す。