DNP AIを活用した業務プラットフォームの提供を開始

, ,

2020年4月23日

 大日本印刷はこのほど、「自然言語処理AI」と「知識グラフ」を用いて、専門性の求められる審査・受付業務や広告の校正・校閲、社内ナレッジの横断的な検索・分析などを可能にする「DNP業務知識活用プラットフォーム」を5月に提供開始すると発表した。なお、価格は年間定額制で950万円(税抜)。

 同プラットフォームを用いることで業務経験の浅い担当者でも専門的な業務知識を容易に導き出せ、業務効率の向上と社員のビジネススキルの平準化を実現することができる。労働人口の減少や働き方改革が推進される中で、従業員1人あたりの労働生産性の向上や社内の専門家や熟練者に依存しないビジネススキルの平準化などが求められる。企業が保有する情報や熟練者の暗黙知を活用した、業務の効率化というニーズは高い。

 同社は、BPO(業務社外委託)サービスを通じて培った業務プロセスの分析ノウハウと、様々な情報を文字画像処理・自然言語処理によって業務知識として活用する技術を基に、同プラットフォームを開発した。特長として、①様々な業務に活用可能な「知識グラフ」を構築②高度な自然言語処理技術を用いたAIによる解析③業界・業種の特徴に適した知識グラフの構築やプラットフォームの活用を促進―などが挙げられる。

 同社は今後、保険会社や金融機関などの加入申し込みの審査業務、コンタクトセンターなどの顧客対応などの業務、社内外の情報検索・分析の支援などへ同プラットフォームを提供していき、2023年度までに関連サービスも含めて30億円の売上を目指す。

 

DNP 業務知識活用プラットフォーム
DNP業務知識活用プラットフォームの概要

DNP ディスプレイぎらつき現象、光学測定原理を解明

, ,

2020年3月18日

 大日本印刷(DNP)はこのほど、光の映り込みを防ぐ「防眩フィルム」を貼ったディスプレイ表面のぎらつき現象に関して、今まで比較が困難だった異なる測定装置や測定条件下でも、信頼性の高い客観的データの取得に必要な光学測定原理を解明した。これにより、ぎらつき現象を定量的に比較・評価することが可能となり、「防眩フィルム」の開発効率を高めることができる。

 ディスプレイは高精細化によりぎらつきが増加する傾向にあり、より正確なぎらつき現象の評価が重要になっている。ぎらつき測定は、防眩フィルムを貼ったディスプレイ表面をカメラで撮影して、撮影画像からぎらつきの明暗として感じられる輝度分布の標準偏差を平均値で除して行う。

 DNPは、カメラレンズの絞りから測定面を見込む角度でディスプレイ面上の最小解像領域の大きさが決まることを確認し、ディスプレイ面上の最小解像領域の大きさがぎらつきに反比例することを突き止めた。

 その結果、撮影の際には最小解像領域が同じになるようにレンズの焦点距離や測定距離を適切に設定することにより、異なる測定条件でも撮像面上でのぎらつきが一致することを実証した。

 また、カメラレンズの撮像素子上の最小解像領域は一般的にレンズのF値(レンズの焦点距離と絞り開口径の比)のみに依存することが知られているが、同じF値で撮像するという条件をさらに加えることで、異なる焦点距離のレンズを用いた場合でも、測定装置から出力されるぎらつきの値を一致させることに成功。これらの知見を用いることで、異なる測定装置・条件の場合でも、測定値の差異が生ずる原因解析や基準を統一したデータ比較を行うことができる。

 今後、同社はこの知見を活用し、顧客の要望や課題を適切かつ迅速に捉え、高精細化が進む大型ディスプレイやモバイル端末、車載向けディスプレイ用に新たな防眩フィルムを提供していく。また、電気・電子技術分野の国際規格の作成を行う国際標準化機関IEC(国際電気標準会議)規格化の議論をサポートする知見になることを期待している。

 

DNP 環境に配慮した紙使用のラミネートチューブを開発、

,

2020年3月5日

 大日本印刷(DNP)はこのほど、紙を使用したラミネートチューブ「DNPラミネートチューブ 紙仕様」を開発したと発表した。チューブの胴体部分に紙を使用することで、プラスチック使用量を15%削減しており、環境に配慮した製品となっている。

 「DNPラミネートチューブ 紙仕様」
「DNPラミネートチューブ 紙仕様」

 近年、ラミネートチューブは、国内、海外ともに使用量が増加。特に化粧品・トイレタリー分野で著しく伸長している一方、海洋プラの削減や地球温暖化の防止などが社会課題となっている。

 こうした中、プラ使用量削減策の1つとして紙化のニーズが増加しており、ラミネートチューブについても化粧品・トイレタリーメーカーなどから紙化のニーズが高まっている。

 DNPは、「持続可能な原料調達」「CO2の削減」「資源の循環」という3つの方針に基づき、循環型社会の実現と環境負荷の低減につなげる、環境配慮パッケージシリーズ「GREEN PACKAGING」を展開。同シリーズの一環として、再生可能資源である紙を使用し、プラスチック使用量を削減したラミネートチューブを開発した。

 特長として、今回開発した紙仕様は、チューブの胴体部分に紙を使用することにより、プラ使用量15%削減を達成。また、紙の持つ温かみやナチュラル感を生かした外観での差別化や、紙の保形性により、最後まで内容物を絞り出しやすいという使用性の向上も期待できる。

 さらに紙の使用とあわせて、バイオマスポリエチレンを使用することにより、全体のうち約75%を植物由来材料で代替することが可能(キャップを除く)。

 同社は今後、ラミネートチューブだけではなく、プラ使用量の削減、CO2排出量の削減を目指し、紙比率を向上させた環境配慮製品の開発を進めていく考えだ。

DNP 機能性PETボトルがダウの包装業界賞で最高賞に

, , ,

2019年10月29日

 大日本印刷(DNP)はこのほど、包装業界で世界的に伝統のある「パッケージング イノベーション賞(The Packaging Innovation Awards)」で、最高賞の「ダイヤモンド賞」を受賞した。

授賞式で盾を受け取るDNPテクノパックの鈴木康仁社長(右から2人目)
授賞式で盾を受け取るDNPテクノパックの鈴木康仁社長(右から2人目)

 対象となったのは、DNP機能性フィルム複合型PETボトル「Complex Bottle(コンプレックスボトル)」。酸素バリア性をもたせることもできる外層フィルムにより、ガラスのような品質や高級感のあるデザイン性を保持しながら、リサイクル可能で、軽量かつ実質的に割れない製品であることが高く評価された。

 「コンプレックスボトル」は、透明で小さい試験管のような形のプリフォームに、遮光性や酸素バリア性などの機能をもった着色フィルムを被せ、膨らませながら一体成形することでボトル底部まで着色フィルムで覆ったPETボトル。

DNP 最高賞 写真 受賞した「Complex Bottle」の製品一例
コンプレックスボトルの製品例

 印刷による美麗で高級感のあるデザインを表面に施せるとともに、外側の着色フィルムをはがすだけで透明なPETボトルになるため、飲み終わったあとは通常のPETボトルと同様にリサイクルができる。

 同賞は、1986年に米国デュポンが設立し、昨年にダウが継承した包装業界で歴史のある世界的な賞。第3者の専門家で構成された審査委員会は、市販の製品・技術・プロセスを対象に、「技術的進歩性」「社会的責任をともなうパッケージング」「より優れた利便性」を審査する。

 今年は、世界30カ国以上から過去最高となる250点近い応募があった。日本企業による最高賞の受賞は、1995年以来の2例目。DNPは今後、これらの特長を生かすことで、清涼飲料や酒類のほか、医療医薬・化粧品・トイレタリー分野へも展開していく考えだ。

DNP 植物原料50%使用のラミネートチューブを開発

, , ,

2019年9月5日

 大日本印刷(DNP)はこのほど、植物由来の原料を50%使用し、チューブ胴体の薄層化によりプラスチック使用量を削減することで、環境に配慮したラミネートチューブを開発したと発表した。

新開発のラミネートチューブ
新開発のラミネートチューブ

 今回開発したラミネートチューブは、チューブ胴体の全ての層と、肩にあたる部分と注出口に植物由来原料を使用し、キャップを除く全体のうち約50%を植物由来原料で代替した。

 さらに、使用中の自立性や使いやすさを維持しながら胴体の薄層化を実現するため、材料設計に工夫を凝らすことで、従来製品に比べてプラスチック使用量を大幅に削減。これにより、CO2排出量を従来比約35%削減した。

 同社が展開する環境配慮パッケージシリーズ「GREEN PACKAGING」の主要製品群の1つが、今回の「DNP植物由来包材バイオマテック」シリーズ。サトウキビから砂糖を精製した際の副産物(廃糖蜜)などの植物由来原料を1部に使用したバイオマスプラスチック製品だ。

 植物は生育の過程で、光合成によってCO2を空気中から取り込むため、パッケージ使用後の焼却時に出るCO2と相殺することが可能で、製品ライフサイクル全体でCO2の削減に貢献する。同シリーズについては、2010年から開発に着手し、現在、食品や日用品などの包装材で広く使用されている。

 同社は、「持続可能な原料調達」「CO2の削減」「資源の循環」という3つの価値を追求することで、循環型社会の実現と環境負荷の低減に向け取り組んでいる。今回開発したラミネートチューブをトイレタリー・化粧品や食品メーカーに販売し、来年度に年間20億円の売上を目指す。

 

DNP 植物工場向けシート型の面発光LED照明を発売

, ,

2018年12月7日

 大日本印刷(DNP)は6日、食料自給率の向上や安定供給、食の安全性向上などを背景として、今後の伸びが期待される人工光を利用した植物工場向けLED照明「DNPフレキシブルLEDシート」の量産を開始し、本格的な販売を開始すると発表した。

近年、従来の露地栽培による農作物の生産は、天候や病気、害虫の被害などによる影響を受けやすく、植物工場を利用した安定供給に注目が集まっている。また、食の安全意識の高まりも、無農薬・低農薬で栽培が可能な植物工場の需要増につながっている。

 同社は、印刷技術を発展させたフィルム加工技術と微細加工技術を活用して、高い反射性から光を有効活用して農作物の光合成を促進するとともに、防汚性にも優れた「DNP反射フィルム リフレモ」を提供。今回、植物工場向けに、薄くて軽く、栽培装置の天面や側面などに設置可能なシートタイプの面発光LED照明「DNPフレキシブルLEDシート」の本格展開を開始する。高い反射性を持つDNPの反射フィルムと組み合わせて利用することで、農作物の育成向上が図れる。

 植物工場向け栽培装置メーカーや植物工場の運営企業などに、同シートと反射フィルムを販売し、2021年までに年間25億円の売上を見込んでいる。今後も同社は、植物工場の生産性向上につながる製品、技術の開発に取り組み、「食」の安定供給、安心・安全に貢献していく考え。

 なお、幕張メッセで開催されている「第9回高機能フィルム展」(5~7日)の同社ブースで同製品を紹介している。

DNP バイオマテックインキを開発

,

2018年10月1日

 大日本印刷(DNP)はこのほど、植物由来の原料を一部に使用することで環境への負荷を軽減する「バイオマテックインキ」を開発したと発表した。

 同製品は、石油由来のインキと同等の物性があるため、洗剤やシャンプーなどの詰め替えパウチや、ボイルやレトルト、電子レンジなどに対応可能な高い機能を必要とする包装材の印刷インキとしても使用できる。

 加えて、植物由来原料を使用した包材「DNP植物由来包材バイオマテック」シリーズの「バイオマテックPET、酸素や水蒸気のバリア性の高い「バイオマテックIB-PET」「バイオマテックVM-PET」などとバイオマテックインキを組み合わせることで、包装材全体として温室効果ガスの排出量削減が期待される。同社ではさらに、モノマテリアル(単一素材)パッケージへの適用も視野に入れている。

 DNPは持続可能な世界を実現するために、2030年までに達成すべき17の国際目標であるSDGsの実現を目指した取り組みを進めている。その一環として、温室効果ガスを製品のライフサイクル全体で削減できる、植物由来原料を使用した包装用フィルム「DNP植物由来包材バイオマテック」を2006年に開発。今月上旬には、使用済みプラスチックのリサイクルの観点から、食品や日用品用途向けに、よりリサイクルしやすいモノマテリアルで構成したフィルムパッケージを発表した。

 今回は、さらなる環境負荷の低減や温室効果ガスの削減を目指し、新たに植物由来の原料を使用した「バイオマテックインキ」を開発。食品や日用品などの軟包装材での基本物性の評価と、供給体制の構築を完了させた。

 今後は、食品・日用品メーカーとともに、「バイオマテックインキ」への切り替えを進めていく。なお、10月2~5日に東京ビッグサイトで開催される「TOKYO PACK2018(2018東京国際包装展)」では、新規開発品「バイオマテックインキ」や「モノマテリアルパッケージ」の出展を予定している。

DNP リサイクルしやすいフィルムパッケージ2種を開発

, ,

2018年9月7日

 大日本印刷(DNP)は6日、食品や日用品などに使用されるフィルムパッケージ向けに、よりリサイクルしやすい単一素材(モノマテリアル)で構成したパッケージ2種を開発したと発表した。

 近年、海洋プラスチック汚染が大きくクローズアップされ、全世界でリサイクルの推進が求められている。これまでのフィルムパッケージは、特性の異なる複数の素材を組み合わせて各種機能を付与しているため、リサイクルがしにくいという問題があった。

 同社はモノマテリアルによるフィルムパッケージの開発に注力し、製品化に成功。これまで培ってきたプラスチック基材へのコンバーティング技術や製膜技術、蒸着技術などを生かして必要な性能を付与することで、フィルムパッケージとしての機能を損なうことなく、PE素材とPP素材のモノマテリアルパッケージを実現した。

 さらに、地球温暖化防止への取り組みとして、一部に植物由来原料を使用したフィルムを使用することで、石油由来の原材料の使用を削減するとともに、ライフサイクル全体のCO2排出量の削減にも寄与していく。

 昨今の環境に対する危機感から、コストがアップしても環境配慮の取り組みを推進する企業が増加しており、今後はさらに環境配慮パッケージへの要求が高まっていくことが予測される。同社は、製造するフィルムパッケージをリサイクルしやすいモノマテリアルパッケージなどに切り替えることで、2025年度で国内と海外市場を併せて年間500億円の売上を目指す。

 今後も、モノマテリアルパッケージの性能向上や、製品ラインアップの拡充を進めていくことに加え、フィルムパッケージのリサイクルを推進する技術の開発や、スキーム(枠組み・仕組み)の構築についても、リサイクル業者や食品・日用品メーカー、流通企業などと共同で推進していく考えだ。