NEDO 熱電発電試験用の標準参照モジュールを開発

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2020年1月21日

 NEDOはこのほど、産業技術総合研究所(産総研)、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)と共同で、熱電発電モジュールの発電性能評価を行うための試験装置用標準器(標準参照モジュール)を開発したと発表した。

 1次エネルギーの多くは効率的に利用されておらず、未利用熱エネルギーとして廃棄されている。そのため、未利用熱エネルギーの有効活用は、省エネルギーとCO2排出削減の重要な柱。特に、未利用熱エネルギーの電力回収(排熱発電)には高いニーズがあり、熱エネルギーを電力に直接変換できる熱電変換技術には大きな期待が寄せられている。

 しかしながら、熱電発電システムの基本構成部品である熱電発電モジュールの発電性能や耐久性を正確に評価する技術は標準化されておらず、その性能を保証する技術の確立が課題だった。

 今回、こうした課題を解決するため、NEDOは産総研とTherMATとともに、熱電発電モジュールの正確で迅速な発電性能評価を行うための試験装置用標準器(標準参照モジュール)を開発。熱電変換材料としてニッケル合金を使用することで、この標準参照モジュールに高い耐久性と信頼性を持たせた。これにより、熱電発電性能の試験法を標準化する上で大きな貢献が期待される。

 今後、3者は国内外の研究機関と連携し、同モジュールの普及を進めることで、熱電発電モジュールに関する信頼性の高い性能計測技術の確立を目指す。また3者は、この熱電発電試験用標準参照モジュールを、現在、国際電気標準会議(IEC‐TC47/WG7)で進めている熱電発電モジュールの発電性能試験法に関する国際標準化活動にも活用する。

 

NEDO・信州大 腰サポートウエアを開発、PVCで軽量化実現

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2020年1月20日

 NEDOはこのほど、信州大学とポリ塩化ビニール(PVC)ゲルアクチュエーターを搭載した、腰サポートウエアを開発したと発表した。重量が2kg程度と軽量で、低消費電力なのが特徴。また、PVCゲルアクチュエーター自体が弾力的に変形しやすいため、装着時の拘束感が少なく、装着者へのストレスが少ないサポートウエアとなっている。

 国内外で深刻な高齢化が指摘されている中、介護や物流現場などで動作支援に貢献できるウエアラブルロボットを、社会や個人に広く普及させることが急務となっている。従来の電磁モーターを搭載したサポートウエアは、重く硬く、駆動音が大きく、拘束感が強いことなどが課題となっている。

 そこで、NEDOと信州大は「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」事業で、駆動源にPVCゲルアクチュエーターを採用し、持ち上げ動作を補助する腰サポートウエアを開発した。

 積層したPVCゲルアクチュエーターを直径約6cm、長さ約45cmの筐体に格納し、本体に取り付けた上肢・下肢ハーネスを、肩・大腿部にそれぞれ装着して使う。アクチュエーターの駆動に伴い、アクチュエーター下部に接続されている下肢ハーネスを引き上げることで、上肢と下肢間に引張力が発生し、能動的に腰の負担を軽減することができる。

 加えて、低消費電力・柔軟・軽量・静音など、人との親和性が高いウエアラブルロボットの実現を可能にした。今後、さらなる軽量化や高出力化、安全性の確保のための研究開発を行い、2021年までに製品化を目指す。

NEDO・大崎クールジェン CO2分離・回収型酸素吹IGCCの実証開始

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2020年1月17日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と大崎クールジェンはこのほど、CO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化複合発電(CO2分離・回収型酸素吹IGCC)の実証試験を開始した。

 実施期間は2019年12月25日から2021年2月28日までを予定し、中国電力大崎発電所構内に建設した実証試験設備で行う。両者は石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)とCO2分離・回収技術を組み合わせた革新的な低炭素石炭火力発電の実証事業に取り組んでおり、今回の実証試験はその第2段階となる。

 なお、大崎クールジェンは中国電力と電源開発の共同出資会社。同実証試験では商用発電プラント(1500℃級IGCC)を想定して、IGCCでガス化したガス全量に対してCO2を90%分離・回収しながら、現状で最新鋭微粉炭火力発電方式と同等となる、送電端効率(高位発熱量基準)40%の達成見通しを立てることを目標としている。

 酸素吹IGCC実証試験設備にCO2分離・回収設備を付設して、CO2分離・回収型酸素吹IGCCシステムとしての基本性能やプラント運用性・信頼性、経済性などを検証する。この実証事業では、酸素吹IGCC実証(第1段階)、CO2分離・回収型酸素吹IGCC実証(第2段階)、CO2分離・回収型IGFC実証(第3段階)の順に実施する。

 2017年3月から開始した第1段階の実証試験では、170MW規模の実証プラントとしては、世界最高レベルの効率となる送電端効率40・8%(高位発熱量基準)を達成し、実用化後の商用発電プラントに換算して、送電端効率約46%(高位発熱量基準)の達成に見通しが立った。今回、第2段階となるCO2分離・回収型酸素吹IGCCの施設が完成したことから、試運転を経て実証試験を開始した。

 同実証試験の目標を達成することにより、同事業とは別に開発が進められているCO2の利用・貯留技術と組み合わせることで、CO2をほとんど排出しない、ゼロエミッション石炭火力発電が実現できる。今後、CO2分離・回収型酸素吹IGCCシステムを確立し、国内外で同技術を普及させることで、世界全体のCO2排出量抑制(地球温暖化対策)への貢献を目指す。

NEDO・埼玉大 樹脂素材にも対応できる組み立てロボット開発

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2019年12月16日

 NEDOと埼玉大学はこのほど、興電舎とワコーテックの協力を得て、世界で初めてハイダイナミックレンジ(HDR)力覚センサーを用いた組み立てロボットの開発に成功したと発表した。

HDR力覚センサーを用いた組み立てロボット02
HDR力覚センサーを用いた組み立てロボット

 従来比10倍となる10g重から20㎏重までの力の検出範囲(ダイナミックレンジ)をもつセンサーと、微小な力感覚を認識する人工知能(AI)技術を新たに開発して搭載したことで、ロボットが微小な力を調整しながら繊細な組み立て作業を行えるようになった。

 これにより、傷つきやすい樹脂素材などの対象物でも、力を抑えて組み立てられるほか、組み立て動作の完了を知らせるクリック動作も検知でき、ロボットによる組み立て作業の高度化が期待できる。

 力覚センサーを搭載するロボットが増えているが、力覚センサーのダイナミックレンジが狭いため、微小な力を計測できず、細やかな力加減ができないことが大きな課題となっていた。そこで、NEDOと埼玉大学は2018年度から、高次組み立て動作の自動化を目的に、HDR運動解析技術に基づく組み立てロボットの研究開発プロジェクトを開始した。

 その中で、ワコーテックと協力し、微小な力から大きな力まで広い範囲で検出できるHDR力覚センサーを開発。さらに興電舎の協力も得ることで、同センサーを用いた組み立てロボットの開発に成功した。

 極めて敏感な力感覚をもっているので、羽根のような繊細なものを使ってロボットに触れても検知できる。棒の形状をした部材を同サイズの穴に挿入するペグインホール動作では、樹脂素材でも傷つかない微小な力で触れながら組み立てられる。蓋の組み付けなどの高度な組み立て作業では、成功率を高めるためには作業が成功したか否かを認識し、失敗時には作業をやり直すことで成功率を高められる。

 AIの深層学習により、組み立て作業が成功しなかった場合、動作を微修正してやり直すようにした。人間は繊細に力加減を調整できるようにするために体の剛性を調整していることが知られている。この知見に基づき、組み立て作業に適したロボットの剛性を、強化学習で自律的に学習するAI技術を開発して搭載した。

 今後は、特に樹脂素材や割れやすい素材の組み立てと、複数の手順で構成されるような複雑な組み立てにこの技術を応用する予定だ。

川崎重工 液化水素運搬船が進水、来秋にNEDOの実証を開始

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2019年12月13日

 川崎重工は、神戸工場で建造中の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の命名・進水式を11日に行った。

進水した世界初の液化水素運搬船
進水した世界初の液化水素運搬船

 全長116m、型幅19mの同船は、世界初の液化水素運搬船。マイナス253℃に冷却し、体積が気体の800分の1となった液化水素を、安全かつ大量に長距離海上輸送するために開発された。来年秋ごろの竣工に向け、今後は、播磨工場で製造している1250㎥の真空断熱二重殻構造の液化水素貯蔵タンクなどを搭載していく。

 同船の初仕事は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進める「未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」となり、来年10~12月に国内試験を行った後、再来年1~3月にはオーストラリアで製造された液化水素を、約9000㎞の航海を経て日本へ輸送する航行試験が行われる予定だ。

 水素は、地球温暖化対策のカギとなる次世代のエネルギーの1つとして注目されている。使用時にCO2などの温室効果ガスが発生しない特性をもち、発電や燃料電池自動車などでの活用が期待されている。

 この水素が、石油や天然ガスと同じように一般的に利用される社会の実現に向け、川崎重工は2016年に岩谷産業、シェルジャパン、電源開発(Jパワー)と、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構「HySTRA」を結成し、NEDOの支援の下、経済的かつ安定的に大量の水素を調達するための、エネルギーサプライチェーン構築に向けた技術開発を進めてきた。

 現在、液化水素運搬船のほか、液化水素の受け入れ基地を兵庫県神戸市に、褐炭ガス化設備をオーストラリアに建設している。また2018年からは、岩谷産業、Jパワー、丸紅、豪AGL Loy Yangとコンソーシアムを組み、豪州連邦政府およびビクトリア州政府より補助を受けてガス精製設備、水素液化・積荷基地などを建設している。

 川崎重工は水素事業を持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みとして、「つくる」「ためる」「はこぶ」「つかう」のすべてのフェーズで開発プロジェクトを推進。1981年にアジアで初めてLNG運搬船を建造した同社は、液化水素運搬船を世界で初めて完成させ、水素社会の実現を目指す。

NEDO 障害者が文字情報を音声取得できる技術開発

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2019年12月12日

 NEDOはこのほど、「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」に関し、エクスポート・ジャパンが、視覚障害者が商品パッケージなどに印刷されたQRコードから、自分のスマートフォン(スマホ)の設定言語に合わせて、食品の原材料や医薬品の用法用量などの音声情報を得られる技術を開発したと発表した。

 具体的には、視覚障害者がスマホで簡単に読み取りが可能なQRコードや商品パッケージの仕様を、実証実験データの分析・活用により導き出し、これまで点字の利用が困難であった食品や医薬品などに応用することで、視覚障害者が、原材料などの情報を音声取得できるようになった。

 NEDOは、福祉用具の実用化開発を推進し、高齢者や障害者の生活の質(QOL)の向上や介護者の負担軽減を目的とする「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」に取り組んでいる。今後も福祉用具の実用化開発を推進し、高齢者や障害者の積極的な社会参加(ノーマライゼーション)を支援し、豊かさを実感できる社会の実現を目指す方針だ。

JXTGエネルギー NEDOの委託事業にバイオジェット燃料が採択

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2019年11月14日

 JXTGエネルギーはこのほど、同社が取り組むバイオジェット燃料の製造実証テーマ2件がNEDOの2019年度の委託事業に採択されたと発表した。

 航空需要は今後大幅に拡大すると予測されていることから、地球温暖化対策は航空業界においても喫緊の課題となっており、バイオジェット燃料はCO2排出量の削減の切り札として世界的に導入の機運が高まっている。

 今回、委託事業に採択された2件のテーマは、バイオジェット燃料の一貫製造技術の確立に加え、サプライチェーン全体での事業性評価を行い、202後年以降の商業化を目指すもの。

 採択テーマは、①アルコールからジェット合成(ATJ)技術を活用した本邦バイオジェット燃料製造事業の事業性評価②バイオジェット燃料製造に最適なガス化・FT(フィッシャー・ トロプシュ)合成による一貫製造プロセス・サプライチェーン構築の事業性評価の2件となっている。

 同社は、JXTGグループ行動基準に定める「環境保全」と「価値ある商品・サービスの提供」に則り、日本最大のジェット燃料のサプライヤーとして、バイオジェット燃料の開発を通じて低炭素・循環型社会の形成に貢献していく考えだ。

 

NEDO ドローン運航管理システム相互接続試験を報告

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2019年11月1日

 NEDOは30日、都内で記者会見を開催し、10月23~24日に実施した同一空域で複数事業者のドローンが安全に飛行するための運航管理システムとの相互接続試験の結果を報告した。

NEDOの宮本プロジェクトマネージャー
NEDOの宮本プロジェクトマネージャー

 今回の試験にはNEDOプロジェクト参画の17事業者に加え、一般のドローン事業者12社が参加。福島県、南相馬市、福島イノベーション・コースト構想推進機構の協力のもと、「福島ロボットテストフィールド」(波江町)で飛行試験を実施し、運航管理システムの実用性や相互接続に関するセキュリティー対策の有効性を実証した。

 NEDOロボット・AI部の宮本和彦プロジェクトマネージャーは、「21種類もの多岐にわたる用途のドローンが、システムに相互接続した。試験では最大37機が

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経産省・NEDO カーボンリサイクル産学官国際会議を開催

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2019年9月27日

 経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催する「第1回カーボンリサイクル産学官国際会議」が25日、都内ホテルで開催され=写真、世界各国の産学官の第一人者や関係者などが参加した。

20190925カーボンリサイクル1 (1) 日本は今年2月に、CO2を炭素資源(カーボン)として捉え、これを回収し、多様な炭素化合物として再利用(リサイクル)する「カーボンリサイクル」を発表。この実現には世界各国の産学官と歩調を合わせ連携することが重要となる。

 今回の国際会議では、各国の革新的な取り組みや最新の知見、国際連携の可能性を確認するとともに、各国間の産学官のネットワーク強化を促進。特にG20で発表された「カーボンリサイクル技術ロードマップ」や、イノベーションを創出するための課題などについて議論を深めた。

 開会のあいさつで菅原一秀経済産業大臣は「本日の会議は

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NEDOなど インドネシアで電動車向け電池シェア実証研究

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2019年9月12日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、助成事業で本田技研工業、パナソニック、パシフィックコンサルタンツ、HPP Energy Indonesiaの4社が、インドネシアでの電動モビリティー向けバッテリーシェアリングシステムの実証研究を開始したと発表した。

 同実証研究では、電動二輪車から着脱・持ち運び可能なバッテリーをユーザー間でシェアすることによる充電時間の短縮効果や、ICTを活用したバッテリー稼働状況の集中管理を含めたシステム全体の有効性を検証する。実証で得られた結果をもとに、同システムを用いたビジネスモデルの確立を図り、インドネシアでの電動モビリティーの普及とともに環境負荷低減を目指す。

 インドネシア政府は、2025年までに1次エネルギー源による石油の割合を現在の49%から22%以下に低減させる目標を掲げている。また、同国の二輪車・四輪車保有台数は東南アジア第1位で、自動車向け燃料費補助金による財政圧迫と大気汚染の進行を理由に、自動車の石油燃料消費量削減への関心が高く、2025年に電動二輪車210万台、電気自動車(EV)2200台の生産を目指している。

 しかしながら、それら電動モビリティーの普及には長い充電時間を短縮することが課題であることに加え、使用後のバッテリーの再利用まで見据えた取り組みが必要。現在、同国での二輪車・四輪車市場では、主流を占めている日本が同国に果たすべき役割は大きいと言える。

 こうした中、NEDOはインドネシアでの電動モビリティー普及の課題解決を目的としたバッテリーシェアリングシステムの実証事業を立ち上げ、分散型エネルギー資源としての可搬型蓄電池シェアリング実証研究の実施について、インドネシア工業省と基本協定書(MOU)を締結。NEDOが助成先として選定した4社が、インドネシアで電動モビリティー向けバッテリーシェアリングシステムを構築し、今回、同システムの実証研究を開始した。

 具体的には、バンドン市とデンパサール市に設置した充電ステーションで、電動バイクユーザーがスマートフォンアプリなどを通じてバッテリーをシェアする方式を導入する。また、西ジャワ州西バンドン県タングシジャヤ村では、バッテリー単体の2次利用サービスに関する実証も行う予定だ。実証期間は2021年2月まで。