需給タイトが継続、定修に加え域外品の流入減少
ABS樹脂やアクリル繊維の原料であるアクリロニトリル(AN)は、足元のアジア市況が2500ドル前後と高値で推移している。大手メーカーの旭化成は、今年度上期の前提条件をAN2200ドル、原料プロピレンとのスプレッド1200ドルとしているが、足元では市況、スプレッドとも想定を上回っている状況だ。その背景として、寒波影響で米国メーカーがフォースマジュール(FM)を宣言して以降、世界的に需給バランスがタイト化していることが挙げられる。
ANは、
2021年6月14日
需給タイトが継続、定修に加え域外品の流入減少
ABS樹脂やアクリル繊維の原料であるアクリロニトリル(AN)は、足元のアジア市況が2500ドル前後と高値で推移している。大手メーカーの旭化成は、今年度上期の前提条件をAN2200ドル、原料プロピレンとのスプレッド1200ドルとしているが、足元では市況、スプレッドとも想定を上回っている状況だ。その背景として、寒波影響で米国メーカーがフォースマジュール(FM)を宣言して以降、世界的に需給バランスがタイト化していることが挙げられる。
ANは、
2021年6月2日
デンカは1日、「ABS樹脂」「デンカIP」「透明樹脂」「クリアレン」について今月15日納入分から値上げすると発表した。対象商品はデンカAS、デンカABS、デンカ耐薬ABS(SRシリーズ)、デンカABSコンパウンド(ガラス繊維強化、摺動、PCアロイなど)、デンカ耐熱ABS「マレッカ」、「デンカIP」、デンカ透明ABS(TE、CL)、デンカ透明樹脂(TP、TH、TX各シリーズ)、「クリアレン」で、改定幅はいずれも「25円/kg」となっている。
国産ナフサ価格および各種原材料価格が上昇しており、ユーティリティコストと物流費についてもコストアップとなっている。こうした中、同社は、継続してコスト削減に取り組んでいるものの、製品の安定供給と事業の維持継続のため、価格改定せざるを得ないと判断した。
2021年2月3日
デンカはこのほど、「ABS樹脂」「デンカIP」「透明樹脂」「クリアレン」について今月15日出荷分から値上げすると発表した。対象商品はデンカAS、デンカABS、デンカ耐薬ABS(SRシリーズ)、デンカABSコンパウンド(ガラス繊維強化、摺動、PCアロイなど)、デンカ耐熱ABS「マレッカ」、「デンカIP」、デンカ透明ABS(TE、CL)、デンカ透明樹脂(TP、TH、TX各シリーズ)、「クリアレン」で、改定幅はいずれも「25円/kg」となっている。
国産ナフサ価格および各種原材料価格が上昇しており、ユーティリティコストと物流費についてもコストアップとなっている。こうした中、同社は継続してコスト削減に取り組んでいるが、製品の安定供給と事業の維持継続のため、価格改定をせざるを得ないと判断した。
2020年12月22日
東レは21日、ABS樹脂「トヨラック」とPBT樹脂「トレコン」を1月4日出荷分から値上げすると発表した。改定幅はABS樹脂「トヨラック」(ABS樹脂、ABSアロイ樹脂、ASG樹脂、AS樹脂、ASA樹脂)および持続型制電性ABS樹脂「トヨラックパレル」が「30円/kg以上」、PBT樹脂「トレコン」(全グレード)が国内「50円/kg」海外「0.5ドル/kg」となっている。
ABS樹脂ならびにPBT樹脂の主原料価格は、急速な需要拡大による市況タイトを背景に急騰しており、フレートを含む物流費も上昇している。同社は、あらゆる角度から継続的なコスト削減や合理化努力を推進しているが、現状の原料価格の上昇は自助努力で吸収できる水準を超え厳しい状況にある。こうした中、同社は安定した品質での商品供給や、さらなる高付加価値品の開発・提案を行う体制の維持・推進のために今回の値上げ実施を決定した。
2020年10月15日
ABS需要は旺盛、プロピレン高騰が懸念材料に
ABS樹脂やアクリル繊維の原料であるアクリロニトリル(AN)は、アジア市況が回復傾向にある。足元のAN市況は1200ドル弱となり、4月後半の1000ドル割れから約200ドル近く上昇している状況だ。
その背景として、いち早くコロナ禍から脱した中国経済が活発化してきたことが挙げられる。政府の補助金などもあり、中国国内では自動車や家電などを購入する「リベンジ消費」が盛り上がり、ANの主用途であるABS樹脂がフル稼働を継続。一時期は在庫が積み上がることで、市況が頭打ちになると見られていたものの、ABS市況は1800ドル近くにまで上昇している。また、このほかのAN誘導品や副生品も底堅い需要が続いているなど、ANチェーン全体の需要は悪くないと言える。
こうした中、需給バランスが崩れていないことも大きい。中国では新規設備(26万t)が稼働を開始したが、インパクトは少ないもよう。これまで中国メーカーは、事業環境が良ければフル稼働にするため、需給悪化となるケースが多かった。しかしここにきて、採算重視で稼働調整を行い、市況を維持する動きも見られている。
国内大手の旭化成は、3工場(日本、韓国、タイ)の平均稼働率を、春先には70%程度に抑えていたが、足元では80%にまで上げてきているもよう。この先、コロナ禍が落ち着き、アジア経済が回復してくれば、さらに稼働率の上昇が期待される。
一方、収益的には原料プロピレンが高騰していることが懸念材料。プロピレンは、誘導品のポリプロピレンが不織布など衛生材料向けに引き合いが強いことに加え、自動車部材や食品包装なども中国景気の回復に伴い需要が戻りつつある。そのためプロピレン市況は上昇基調を継続し、足元では850~900ドル台の高水準で推移。ANとのスプレッドは300ドル程度となっており、メーカー各社にとって厳しい事業環境となっている。さらに、アジア地域ではセンター各社の定修が重なり、プロピレンに先高感も出ている。ANの市況上昇に時間がかかれば、スプレッドが圧縮される可能性もあり、この先の市場動向が注目される。
2019年12月3日
2019年8月30日
2019年7月24日
日本ABS樹脂工業会がこのほど発表した出荷実績によると、今年上期(1-6月期)の総出荷量は前年同期比10%減の17万2900tとなった。国内出荷は同2%減の11万7900t、輸出は同23%減の5万5000tとなり、いずれも前年の水準を下回った。
昨年上期も国内・輸出ともマイナスだったが、昨年上期の国内出荷が同1%減、輸出が同4%減だったのに対し、今年上期は減少幅が拡大し、特に輸出の落ち込みが歴然としていることから、ABS樹脂の事業環境は、不確実性が高まっていると言えそうだ。
上期の用途別国内出荷量は、車輌用が
2019年6月27日
2019年3月26日