富士フイルム バイオ医薬品CDMO拡大に1000億円投資

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2020年6月18日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託事業の拡大を加速させるため、バイオ医薬品CDMOの中核会社FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)のデンマーク拠点に約1000億円の大型設備投資を行うと発表した。

 FDBは米国(2拠点)、英国の拠点に加え、昨年8月には米バイオジェンの製造子会社を買収し、デンマークに4拠点目を築いた。現在、デンマーク拠点の高度な製造インフラや製造実績、FDBの高品質医薬品の安定供給技術などが合わさり、新規・既存顧客からの新薬製造受託や、新型コロナウイルス感染症治療推進プロジェクトの治療薬製造受託など受注が拡大している。

 こうした中、今後の受託ニーズ増加にも対応するため、デンマーク拠点の生産能力を大幅に増強することを決定した。2023年秋に稼働予定の原薬製造設備は、動物細胞培養用2万ℓタンクを2倍の12基に増設し、バイオ医薬品業界でも有数の規模となる。また、同年夏に稼働予定の製剤製造ラインの新設では、充填能力約3500万本/年の最新の全自動型製剤製造システムを導入し大量受託が可能となる。

 2022年春に稼働予定の包装ラインには、多品種のオートインジェクター(自動注射器)組み立てが可能な装置や、汎用性の高い自動ラベル貼付・梱包設備などを導入し、幅広い顧客ニーズに応えていく。これらの設備投資を通じて、バイオ医薬品の原薬から製剤・包装までワンサイト・ワンストップで大量生産できる体制をデンマーク拠点に構築し、顧客の利便性を一層向上させ、さらなる事業成長を図っていく考えだ。

 同社は、抗体医薬品やホルモン製剤、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬から製剤・包装までの製造受託に対応できる強みを生かして、バイオCDMO事業で2021年度の売上目標1000億円達成を掲げている。今回の設備投資による増収効果なども加えて、2025年度には同事業で売上高2000億円以上を目指していく。

富士フイルム バイオ医薬品能力を増強、英国を拠点に投資

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2020年3月31日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の生産能力を拡大するため、バイオ医薬品CDMO(医薬品開発製造受託)の中核会社FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)の英国拠点に約90億円を投じて製造設備を増強すると発表した。同設備は、微生物培養によってバイオ医薬品の原薬を製造するためのもので、2022年以降の稼働を予定している。

 バイオ医薬品は、副作用が非常に少なく高い効能が期待できることから、医薬品市場に占める割合が高まっている。現在、バイオ医薬品には、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬などがあり、それぞれの製造には、微生物培養や動物細胞培養、ヒト細胞培養などが用いられる。ただ、非常に高度な生産技術と設備が必要とされるため、製薬企業やバイオベンチャーは優れた技術と設備を持つCDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが急増している。

 富士フイルムは、バイオ医薬品のプロセス開発や製造の受託拡大に向け、高効率・高生産性の技術開発に加えて積極的な設備投資を推進。現在、FDBの米国拠点に動物細胞培養タンクやヒト細胞培養設備など大規模投資を行い、抗体医薬品や遺伝子治療薬の受託能力を増強している。また、微生物培養によるバイオ医薬品市場についても、30年以上にわたる受託実績と、業界トップクラスのたんぱく質産生効率などを実現する高生産性技術「pAVEway(ペーブウェイ)」を強みに受注を拡大させている。

 今回、同社は、新規顧客からの生産要請に加え、既存顧客からの増産要請にも対応するため、FDBの英国拠点に設備投資を行い、微生物培養によるバイオ医薬品の原薬の製造設備を増強する。具体的には、2000リットル微生物培養タンク(2基)や精製設備などを備えた製造ラインを新設。さらに、既存製造ラインのユーティリティ設備や精製プロセス設備なども増強することで、生産量を大幅に向上させる。

 なお、今回の設備投資により、英国拠点では、微生物培養による原薬の生産能力が、現状比約3倍となる。同社は、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬製造から製剤化まで受託できる強みを生かして事業成長を図り、2021年度にバイオCDMO事業で売上高1000億円を目指す。