米国の第三者安全科学機関ULの日本法人であるULジャパン(三重県伊勢市)はこのほど、電子たばことベーピングデバイスに搭載されたリチウムイオンバッテリーの欠陥や不具合を、検証段階で発見できる規格「UL8139」を発行したと発表した。
リチウムイオンバッテリーの危険性への対処が求められる中、製造業者を支援するために開発された同規格により、製品の電気・加熱・バッテリー・充電システムの安全評価を行う。
近年の禁煙・嫌煙の風潮の高まりを受け、電子たばこ・ベーピングデバイスの使用量は増加傾向にある。リサーチ・アンド・マーケット社の調査によると、世界の電子たばこ・ベーピングデバイス市場は、2025年までに614億ドルに達すると見込まれている。
一方、04年の流通開始以降、電子たばこの発火や爆発によるけがや物的損害も増えるなど、急速に成長する電子たばこ市場の安全性に対する懸念が高まっている。
電子たばこには通常、溶液(e‐リキッド)を温め、蒸気を発生させるためのバッテリー駆動式の発熱部分が内蔵されており、粗悪な品質のリチウムイオンバッテリーやその誤用は、発火や爆発の原因になり得ることが知られている。
UL8139の要求事項への適合は、バッテリー関連の損傷の最小化や、ブランドを守ることにもつながる。また、認証を行う過程で、リチウムイオンバッテリーの欠陥や設計上の不具合を発見することができるため、製造業者はリチウムイオンバッテリーの爆発や火災という、重大な事故を未然に防ぐことができる。
UL8139の試験には①通常使用時と予想可能な誤用時のバッテリーマネジメントシステム(BMS)の評価②機械的ストレス試験③偶発的起動④相互接続システムとの互換性⑤環境耐性が含まれる。同社はUL規格にとどまらず、国際規格や各国・地域の規制に準じた試験も実施し、今後も電電子たばことベーピングデバイスの安全性向上に努めるとしている。