東ソー 米ベンチャーに出資しバイオサイエンス事業を強化

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2019年1月11日

 東ソーは10日、米国のバイオベンチャー企業「10 Biosciences(Semba)社」(ウィスコンシン州)の増資を引き受け、同社へ出資したと発表した。バイオサイエンス事業の強化・拡大の一環。これにより、東ソー・グループのSemba社への出資比率は33.3%(完全希薄化後ベース)になる。なお、この出資は同社100%出資の米国子会社Tosoh Bioscience 社(ペンシルベニア州)を通じて実施した。

 Semba社は2005年の設立。2009年に世界初の卓上タイプの連続クロマトグラフィー装置Octaveを上市した。最近ではバイオ医薬品の開発用連続クロマトグラフィー装置ProPDを市場投入し、製造用連続クロマトグラフィー装置ProGMPの製品化を進めている。

 東ソーは今回の出資により、Semba社との連携を強化し、液体クロマトグラフィー用分離剤(トヨパール)事業とのシナジー効果を狙う。さらに、今後も周辺分野へ展開することで、バイオ医薬品精製のトータル・ソリューション・プロバイダーを目指す。

 市場の成長著しいバイオ医薬品の製造では、精製工程でバッチ方式による生産が主流となっているが、需要変動に対する柔軟性や生産性に優れたプロセスの構築が課題となっている。その解決策として注目されている技術の一つが、従来方式と比べて高生産性で低コストといった特長を持つ連続クロマトグラフィー方式である。 また、医薬品製造の連続プロセス化を米国食品医薬品局(FDA)がメーカーに推奨していることから、今後、従来方式に代わり、主要な技術・市場に成長することが見込まれている。

 なお、連続クロマトグラフィーとは、複数のカラムを組み合わせ、試料・溶離液・洗浄液等の流れをバルブ操作で自動制御することにより、吸着・溶出・カラム洗浄などのプロセスを、並行して連続的に行う液体クロマトグラフィー手法のこと。