帝人は6日、自動車の軽量化、強度やデザイン自由度の向上、製造工程の短縮化などに貢献する、コンポジット製の座席ドアモジュールを開発したと発表した。同社はすでに試作品の開発にも成功しており、今月12日からフランス・パリで開催される世界最大のコンポジット展示会「JECワールド2019」で初公開する(出展ブース:ホール6、G28とJ28)。
世界的な環境規制の強化を背景としたEV(電気自動車)化の加速により、特に欧州を中心に、樹脂などの軽量・高度素材を用いたモジュール化が進んでいる。
今回開発したドアモジュールには、炭素繊維やガラス繊維に熱硬化性樹脂を含浸させシート状にしたCF-SMCやGF-SMC、一方向性のGFRP(ガラス繊維強化樹脂)といった複数の素材を組み合わせた。
座席ドアに求められる強度を保ちながら、スチールを使用した従来のドア部品に比べて約35%の軽量化。アルミを使用したドア部品と同等の製造コストで、アルミでは実現が難しかった、角部分に半径3mmの丸みをもたせた深さ70mmの型押し加工による深絞り成形を行い、デザイン性も向上させた。
さらに、高い耐熱性が求められる電着塗装(E-Coat)工程にも適応可能なため、従来の金属部品の塗装工程ラインを活用でき、生産性の向上にも寄与する。
同社グループは、自動車部品の軽量・高強度コンポジット化の加速に向け、さまざまな取り組みを推進している。
今回開発したドアモジュールについても、2025年までの実用化を目標に、グループ内の素材や技術を結集し、顧客ニーズに沿った最適な設計と改良を重ねていく考えだ。
また今後も、マルチマテリアルでの部品供給メーカーとして、ソリューション提案力の強化を図り、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業で売上20億ドル規模を目指す。