三菱ケミカル 2018年度触媒学会賞(技術部門)を受賞

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2019年5月29日

 三菱ケミカルは28日、1‐ヘキセンの製造に用いるクロム系エチレン三量化触媒の開発が、日本の触媒研究分野で権威のある触媒学会から、2018年度触媒学会賞(技術部門)を受賞したと発表した。

 世界に先駆けて超高活性・超高選択性をもつクロム系エチレン三量化触媒を見出し、選択的なエチレン低重合反応の技術分野の発展に大きく貢献した点と、同触媒を使ったシンプルで環境負荷の少ない製造プロセスにより、商業規模での1‐ヘキセンの生産が開始された点が評価された。

 同触媒は安価で汎用のトリエチルアルミニウムを助触媒とし、1‐ヘキセンの反応選択性が95%を超える高い反応選択性を示す一方、ポリエチレンの副生率は0.1%未満となる特徴をもち、超高活性・超高選択的エチレン三量化触媒として、同社が開発した。

 同触媒プロセスは、触媒の生成とエチレンの三量化反応を反応槽内で同時に行う同時接触法を採用している点に特徴がある。この独特な接触法によって、触媒活性種を不安定化させることなく、効率的に生成させることが可能となり、稀有な高い触媒性能を実現した。

 また、同プロセスの革新性は、同時接触法の採用によって、煩雑で高コストとなる触媒調製工程を排除した点にあり、製造プロセスの簡素化や製造時のエネルギー消費の削減、プラントの安定運転、生産性の向上につながった。

 なお、同社はすでにこの触媒を用いたプロセス技術について、タイ国内の大手化学メーカーと2014年にライセンス契約を締結しており、2018年度から生産が始まっている。

 今後も、同社は世の中のさまざまな課題に対してソリューションを提供するため、触媒やプロセスなど、自社の保有技術をブラッシュアップすると同時に、ライセンスビジネスも積極的に展開していく。