SABIC 廃棄PETから再生した高付加価値PBT樹脂を発表

,

2019年6月17日

 石油化学大手のサウジ基礎産業公社(SABIC)はこのほど、リサイクルPETから再生したポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂「LNPエルクリンiQ」を発表した。

 主に使い捨て水ボトルのPETを再生し、より特性を強化して、耐久性が求められる用途に適した高付加価値PBT樹脂を上市することで、さらなるリサイクル樹脂の需要を喚起する。

 「LNPエルクリンiQ」コンパウンドとブレンド製品は、同社の独自技術によって再生したiQPBT樹脂をベースにしている。

 この技術は、PETボトルやその他のPET廃棄物を前駆体化学物質に解重合し、さらにそれらを精製して新しいPBT樹脂を製造する化学プロセスを使用することで、 メカニカルリサイクルの限界を克服した。また、この技術は高い生産効率に寄与する優れた流動性、耐薬品性、着色性、難燃性といった性能を提供する。

 「LNPエルクリンiQ」樹脂は、バージンPBTと他の従来のPBT樹脂を直接置き換えられるため、顧客は現在使用しているPBT樹脂を同樹脂に変更するだけで、自社製品をより環境に優しい持続可能な製品にすることができる。

 また、PBTの製造に使用されていたバージン原料を使用しないことで、材料製造時の消費エネルギーとカーボンフットプリントを、それぞれ最大61%と49%削減したことがライフサイクルアセスメント調査(査読付き)で示されている。

 ちなみに、同樹脂は、1Kg当たり最大67本の使用済みPETボトル(500ml)を再利用している。高い耐久性と優れた外観が求められる家電製品、自動車用コネクター、医療機器の外装などで需要が見込まれており、こうした用途に採用されることで、これまで使い捨てられていたPET樹脂の使用期間を延長させ、材料が廃棄されるまでの期間を延ばすことに貢献する。

 なお、ガラス強化・ミネラル強化グレード、非ハロゲン難燃性や耐UV性の配合など、顧客の要望に応じた製品が取り揃えられている。またいくつかのグレードは、米国FDAの食品接触材規則に適合する可能性もあるという。