宇部興産、昭和電工、日揮、荏原環境プラントは28日、先月31日に秘密保持契約を締結の上、EUP(Ebara Ube Process)を活用した廃プラスチックのガス化処理設備の EPC(設計・調達・建設)に関わる協業の検討を開始したと発表した。
昨今、海洋マイクロプラスチック問題に代表されるように、廃プラのリサイクル推進は世界的な課題となっている。
日本でのプラのリサイクル率は86%だが、その内資源循環されているプラの割合は13.5%に留まり、残りは海外輸出やサーマルリサイクル(TR)などへ利用されている(2017年度)。
さらに、中国や東南アジア諸国に見られる固体廃棄物輸入の規制強化の流れが強まる中、日本のみならず各国内での資源循環システムの確立が急務となっている。
廃プラのガス化ケミカルリサイクル(CR)は、他の手法ではリサイクルが困難である異種素材や不純物を含むプラを分子レベルに分解し、さまざまな化学物質に再生することが可能であり、リサイクル率の大幅な向上への貢献が期待されている。
2000年に荏原製作所(2009年に荏原環境プラントに事業承継)と宇部興産が開発したEUPは、廃プラを酸素と蒸気による部分酸化によりガス化し、アンモニアやオレフィンなどの化学品合成に利用可能な合成ガスを生産するプロセス。
2003年から昭和電工川崎事業所で稼働を続けているガス化設備(廃プラの年間処理量約7万t)には、このEUPが採用されており、ガス化CR用途では、世界で唯一の長期商業運転実績をもつ技術。
今後、4社は、年内を目途にEUPのライセンス契約を締結の上、国内外においてガス化処理設備に関わる積極的な営業活動を展開し、EUPを用いた廃プラガス化処理設備の提案とEPC業務遂行を目指す。
さらに、EUPを含む設備により合成されるアンモニアやオレフィンなどを用いた化学品製造設備の提案を通じ、国内外でのガス化CRの普及と資源循環推進に取り組んでいく。