【化学企業 入社式訓示④】デンカ 山本学社長

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2020年4月7日

 世界は今厳しい変動のもとにある。ナショナリズムと保護主義の高まりが、中国や新興国の成長基盤を傷つけ、経済活動の停滞を招いている。また、足元でのコロナウイルスの世界規模での流行など、想定外の厄災の連続で、経済の先行きを見通すことは一層困難だ。

 一方で、EVや自動運転などの自動車の急速な進歩、デジタル技術によるサイバー空間の驚異的な膨張、遺伝子治療などの医療革命といったメガトレンドが加速しており、市場の競争条件が破壊的に変化している。昨日の常識が今日の非常識となる世界に、我々は足を踏み入れているのだ。

 デンカは2018年度から5カ年の経営計画「Denka Value‐Up」をスタートさせたが、「過去の固定観念にとらわれずに、時代の要請を先取りして変化し続け、創造し続ける企業体質に生まれ変わる。それによって社会の発展に貢献する企業となる」という覚悟が込められている。

 また中計では、事業構造、技術開発、人財プールまであらゆる面でのスペシャリティー化を推進している。それとともに、製造、研究、業務にわたる全プロセスの革新により生産性を劇的に高め、不確実性が高まるグローバル市場にあっても持続的な成長を可能とする強力な体質に転換していく。

 一方、生産性の革新をワークライフバランスの向上にもつなげ、デンカで働くことを世界中の人々から羨まれるような会社になることを目指す。これらの目標の実現には、変化に恐れず向き合い、みずからが率先して変化していく姿勢が求められる。前向きな変化が成長を生み出すのだ。

 新入社員の皆さんが変化の主役にならねばならない。デンカの枠を超え、グローバルな基準でも、スペシャルな存在を目指して精進を続けてほしい。そして会社に変化を促すクリエイティブな役割をしっかり果たすとともに、相互の連携を強めてお互いを高めあっていただきたい。

 最後に、歓迎の言葉に替えて「胆大心小」を紹介する。胆(きも)は大きく心は小さく、度胸と細心の注意で事に当たれば、大抵の難局は乗り越えられるという意味だ。臆さず、かつ注意深くことにあたり、成功体験や価値ある失敗の積み重ねで自分を磨いてほしい。