デンカの3月期 CRなどの販売が減少、負要因を上回り減収減益

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2020年5月14日

 デンカは13日、2020年3月期(2019年度)の決算を発表した。売上高は前年度比8%減の3808億円、営業利益は8%減の316億円、経常利益は9%減の300億円、純利益は9%減の227億円の減収減益となった。

 車両電動化関連やヘルスケア分野で販売量が増加したが、原材料価格の下落に応じた一部製品価格の見直しや、国内外での需要減を受け減収。販売数量の減少に加えて、ヘルスケア分野などの先行投資による費用負担の増加などにより減益となった。

 セグメント別に見ると、エラストマー・機能樹脂部門は、売上高17%減の1493億円。スチレンモノマーや各種樹脂の販売は堅調だったが、売価値下げが響いた。また、クロロプレンゴム(CR)は需要減退を受け、販売数量が減少した。

 インフラ・ソーシャルソリューション部門は、売上高は微減の548億円。特殊混和材は出荷増と価格改定により増収に貢献。農業・土木用途向けのコルゲート管はおおむね堅調に推移した。セメントや肥料、耐火物・鉄鋼用材料は販売減少により減収となった。

 電子・先端プロダクツ部門は、売上高1%増の680億円。電子部品・半導体の搬送用部材「デンカサーモフィルムALS」などの機能フィルムや球状溶融シリカフィラーの販売は減少したものの、球状アルミナや高純度導電性カーボンブラックなどの車両電動化関連製品や、電子回路基板、高信頼性放熱プレート「アルシンク」、LED用サイアロン蛍光体「アロンブライト」の販売が好調だった。

 生活・環境プロダクツ部門は、売上高5%減の370億円。プラスチック雨どいと工業用テープは堅調、食品包材用シートやデンカポリマーの加工品は前年並みに推移した。合繊かつら用原糸「トヨカロン」は減少した。

 ライフイノベーション部門は、売上高は4%増の355億円。デンカ生研の試薬とインフルエンザワクチンの販売が好調だった。

 なお、2021年3月期の業績は、コロナ感染拡大の影響が第2四半期以降徐々に収束に向かい第3四半期以降は正常化するとの前提で、売上高3600億円、営業利益310億円、経常利益290億円、純利益210億円との予想だ。引き続きメガトレンドを視野においたスペシャリティー事業の成長加速化と先端的デジタル技術の導入によるプロセス革新に取り組むとともに、今後の経済変動も踏まえて、企業理念「Denka Value―up」を推進する。