トクヤマは15日、2020年3月期の連結業績を発表した。売上高は前期比3%減の3161億円、営業利益は3%減の343億円、経常利益は2%減の328億円、純利益は42%減の199億円だった。
世界経済は米中貿易摩擦を背景に減速、その後日本では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による輸出の減少・個人消費の落ち込みと、景気は大きく後退した。このような中、同社は中期経営計画で掲げた重点施策に取り組んできた。徳山製造所のコスト削減に一定の成果はあったものの、主力製品を中心とした販売軟化により減収減益となった。
セグメント別で見ると、化成品セグメントは、売上高5%減の937億円、営業利益9%減の154億円で減収減益。カセイソーダは、販売は堅調だが原料価格上昇と海外市況の下落で減益、塩ビ樹脂は、原料価格と販売価格のスプレッド維持により増益となった。酸化プロピレンは、主用途のウレタン向けが伸び悩み、塩化カルシウムは、少雪による販売売量減少と物流費増加が響き減益だった。
特殊品セグメントは、売上高9%減の545億円、営業利益29%減の71億円で減収減益。多結晶シリコンと放熱材は半導体市場に回復の兆しがあるものの、顧客の在庫調整による数量減少で減益。電子工業用高純度薬品は、海外向けを中心に数量が回復し前期並みで推移した。
セメントセグメントは、売上高6%減の873億円、営業利益20%増の38億円で減収増益。石炭価格の下落により製造コストは低減したが、軟調な販売と修繕費などの増加により減益、資源リサイクルは、廃棄物受入数量増により増益となった。
ライフアメニティーセグメントは、売上高2%増の563億円、営業利益11%減の29億円で増収減益。プラスチックレンズ関連材料は、メガネレンズ用フォトクロミック材料の増加で増益。歯科器材は、海外を中心に数量増加したが、新製品の広告宣伝費などの増加が利益を下押しした。医療診断システムは、臨床検査機器システム案件獲得が堅調に推移し増益。イオン交換膜は、大型案件の減少により減益となった。
なお、2021年3月期の通期業績予想については、新型コロナの影響は、第2四半期より徐々に薄れ第3四半期以降回復に向かうものと想定し、売上高2%減の3100億円、営業利益18%減の280億円、経常利益15%減の280億円、純利益10%増の220億円を見込んでいる。