三菱ケミカル(MCC)は5日、物質・材料研究機構(NIMS)と共有する赤色蛍光体に関する中国特許に対し、中国企業2社(Shield社と英特美光電社)が特許の無効を訴えていた行政訴訟について、裁判所がその訴えを退け、特許の有効性を支持する勝訴判決を得たと発表した。Shield社との第2審では原審と同様、特許の有効性が支持され、今回の判決により勝訴が確定したことになる。
赤色蛍光体は、通称SCASNまたは1113蛍光体と呼ばれる窒化物系の蛍光体。高い輝度と信頼性からLED用として最も広く使用されており、MCCが製造販売している赤色蛍光体は、LEDメーカー各社から多くの支持と評価を受けている。同特許は、この赤色蛍光体とそれを用いたLEDデバイスなどを広くカバーする基本特許であり、今回の2つ判決ではMCCとNIMSが共有する重要な知的財産権の有効性が中国の司法により改めて支持された。
中国はLEDデバイスの最大の生産国であり、赤色蛍光体の主用途である白色LEDデバイスでも最大生産量を誇る。その中国で中国企業2社の主張を全面的に退け、同特許の有効性が支持された今回の2つの判決は、長年中国で積極的に投資、事業展開を行ってきたMCCにとって非常に意義深いもの。また、蛍光体産業のみならず白色LED産業全体にとっても重要な意味を持ち、今後の両産業の健全な発展と秩序維持に繋がることが期待される。
今後もMCCとNIMSは自社・他社の知的財産権を尊重し、他社が知的財産権の無効を主張しまたは侵害するようなことがあれば、看過することなく適正な対応を取る考えだ。