富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託事業の拡大を加速させるため、バイオ医薬品CDMOの中核会社FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)のデンマーク拠点に約1000億円の大型設備投資を行うと発表した。
FDBは米国(2拠点)、英国の拠点に加え、昨年8月には米バイオジェンの製造子会社を買収し、デンマークに4拠点目を築いた。現在、デンマーク拠点の高度な製造インフラや製造実績、FDBの高品質医薬品の安定供給技術などが合わさり、新規・既存顧客からの新薬製造受託や、新型コロナウイルス感染症治療推進プロジェクトの治療薬製造受託など受注が拡大している。
こうした中、今後の受託ニーズ増加にも対応するため、デンマーク拠点の生産能力を大幅に増強することを決定した。2023年秋に稼働予定の原薬製造設備は、動物細胞培養用2万ℓタンクを2倍の12基に増設し、バイオ医薬品業界でも有数の規模となる。また、同年夏に稼働予定の製剤製造ラインの新設では、充填能力約3500万本/年の最新の全自動型製剤製造システムを導入し大量受託が可能となる。
2022年春に稼働予定の包装ラインには、多品種のオートインジェクター(自動注射器)組み立てが可能な装置や、汎用性の高い自動ラベル貼付・梱包設備などを導入し、幅広い顧客ニーズに応えていく。これらの設備投資を通じて、バイオ医薬品の原薬から製剤・包装までワンサイト・ワンストップで大量生産できる体制をデンマーク拠点に構築し、顧客の利便性を一層向上させ、さらなる事業成長を図っていく考えだ。
同社は、抗体医薬品やホルモン製剤、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬から製剤・包装までの製造受託に対応できる強みを生かして、バイオCDMO事業で2021年度の売上目標1000億円達成を掲げている。今回の設備投資による増収効果なども加えて、2025年度には同事業で売上高2000億円以上を目指していく。