NEDO ネットワーク末端での情報処理効率を一桁向上

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2020年7月10日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、進化型・低消費電力AIエッジLSIの研究開発事業を通じて、ソシオネクスト、ArchiTekと豊田自動織機が、AI認識処理の「ハイブリッド量子化DNN技術(深層学習)」、画像処理の「進化型仮想エンジンアーキテクチャ技術(aIPE)」、自己位置推定・環境地図作成の「リアルタイムSLAM処理技術」を開発したと発表した。

 これらを用いたAIエッジLSIを試作評価したところ、AI認識処理と画像処理は汎用GPUの10倍以上の省電力化、リアルタイムSLAMの自己位置推定処理時間は汎用CPUの20分の1となる短縮化を達成した。

 IoT社会の到来により爆発的に増加するデータを高度に利活用するためには、クラウドでのデータ処理だけでなく、ネットワーク末端(エッジ)での低消費電力・高度情報処理が求められる。今回、パラメーターや入力値を低ビット化して処理する技術と、機械学習用の量子化ライブラリ、推論用の量子化エンジン、学習から推論への変換処理技術により、高速・高精度・低電力でのAI認識処理が可能となった。

 また、最小限のハード部品の組み合わせでアルゴリズムを構築することで、高速移動ロボットの自己位置推定処理時間を、大幅に短縮できた。これにより物流やマシンビジョン、セキュリティ・見守り、車載センシングシステムでの低電力、低遅延、低コストのエッジコンピューティングシステムが構築でき、超低消費電力社会の実現が期待できる。

 今後、進化型aIPEとハイブリッド量子化DNN技術の統合、リアルタイムSLAM処理技術の高度化、コンピュータービジョンとAI基本ミドルウェアライブラリの開発、クラウド・エッジ環境の最適化を進め、産業検査、運転支援、ドローンなどへ適用可能な高度・低電力AIの技術確立を目指す。なお、進化型aIPEを取り込んだプラットフォームのIP(回路情報)は、ArchiTekが10月から提供する予定。