三菱ケミカルは30日、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進に向けた取り組みの一環として、ドイツにある炭素繊維リサイクル事業を手掛けるCFK Valley Stade Recycling(CFK)、およびcarboNXT(cNXT)を、スイスのグループ会社を通して買収することを決定したと発表した。来月8月上旬をめどに買収を完了させる予定。
今回買収するCFKは、炭素繊維を使用したプリプレグなどの中間材を加工する際に発生する端材を、モビリティを中心とした顧客から回収するネットワークや、回収した端材をリサイクルする技術をもち、cNXTはそのリサイクル製品の販売を行っている。
三菱ケミカルは今年、炭素繊維プリプレグメーカーであるドイツのc‐m‐p社、エンジニアリングプラスチックリサイクルを手掛けるスイスのMingerグループを買収。日本ではグループ会社「新菱」が炭素繊維リサイクル事業を手掛けているが、今回の買収により欧州についても、炭素繊維および炭素繊維コンポジットの製造から製品回収、リサイクルまでのチェーンを確立する。今後はリサイクルした製品を再度原料として同社グループで利用することにより、顧客に対して製品のリサイクルも含めたトータルソリューションを提案していく。
三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略「KV 30」の下、サーキュラーエコノミーの推進をKAITEKI実現のキーエレメントと位置づけ、製品のリサイクルはその重要な取り組みの1つと捉えている。
今後も、炭素繊維コンポジット業界のフロントランナーとしてユーザーへのソリューション提案力を強化し続けるとともに、循環型社会の実現に向けて貢献していく考えだ。