ブタジエンが上昇基調を継続、芳香族は弱含み
アジア地域の7月第3週の石化市況では、エチレンは、下値、上値とも前週並みの800~830ドル/tでの取引となった。5月以降、中国経済の回復に伴い上昇基調を強めてきたが、誘導品の需要が弱含んでおり、7月に入ってからは需要が一服している。センター各社の定修が終わったことや、また域外品の流入も続いていることから、この先、需給バランスがやや緩んでくるとの見方も出ている。
スプレッドは、ナフサ市況が下落したことで414ドル/tと再び400ドル台を回復した。プロピレンは、下値20ドル高、上値10ドル高の800~850ドル/tと3週連続での上昇となった。プラントのトラブルが発生し需給にタイト感が出ている。需要は一時ほど強くないものの、堅調さを維持しているようだ。
ブタジエン(BD)は下値、上値とも50ドル高の430~470ドル/tでの取引となった。下値が400ドル台となったのは、4月第2週以来、約3カ月ぶりになる。中国の自動車生産が回復基調を強めたことで、BDの主用途であるタイヤ需要が盛り上がりつつある。これまで下値では、ナフサ価格を下回る値動きとなっていたが、BD在庫が減少したことで価格が押し上げられる結果となった。
一方、芳香族は原油・ナフサ価格が下落したことで、先週に引き続き3製品とも一段安となっている。ベンゼンは7ドル安の407ドル/tと4週連続で下落。ナフサとのスプレッドは9ドル拡大の21ドルに改善したが、事業環境は厳しい状況が続いている。
誘導品であるスチレンモノマー(SM)は、8ドル安の655ドル/tと5週ぶりに下落したものの、スプレッドは前週並みを維持した。トルエンは、20ドル安の392ドル/tと400ドル台を割り込んだ。キシレンは13ドル安の424ドル/tと4週連続下落し、ナフサスプレッドは38ドルと9週ぶりに改善した。川下のポリエステル市場は需要低迷が続く中、新設備の稼働も予定され、原料に余剰感が強まっている。
今後については、先行き不透明な状況だ。7~8月にかけてアジア域内で定修が予定されており、供給が絞られることが想定されている。ただ、留分によって需要に濃淡があること、また誘導品需要の回復が遅れていることもあり、需給バランスが締まらないとの見方もある。さらに、コロナの第2波の懸念が再び高まっていることも、アジア石化市場に大きな影を落としそうだ。