NEDO 人と共に進化するAI技術で労働生産性を向上

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2020年8月27日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、「人と共に進化する次世代人工知能(AI)に関する技術開発事業」を開始した。人がAIの推論過程や推論根拠から学び、AIが人の知見を使って推論精度を上げ、人とAIが共に進化するAIの開発を行う。将来の労働力不足に対する労働生産性の向上に、AIを活用した専門家の育成や労働者のスキル習得の効率化などが期待される。

 一方、医療診断、貸付審査、自動運転など社会的・経済的な影響が大きい分野では、AIの推論結果を理解できない、品質の評価・管理手法も未確立であるなど、AIの導入は限定的だ。また、AIの推論精度に必要な大量データに対する要求精度やタグ付けといった前処理なども、AI導入の障壁である。

 こうした中、①人と共に成長するAIの基盤技術、②AIの評価・管理手法、③構築・導入が容易なAIの開発、からなる研究開発事業を開始した。今年度からの5年計画で、今年度予算は約29億円。

 ①は推論過程や推論根拠を説明でき、人の知識を理解できるAIの開発で、人とAIが相互に理解・学習することにより共に進化し、幅広い分野へのAIの適用を目指す。

 ②は評価項目・指標・目的などの具体的な品質評価・管理ガイドラインの策定、推論結果の品質評価・管理手法の開発、膨大な検査データや統計的データの統合処理テストベッドの開発により品質マネジメントを確立し、デファクトスタンダード化を目指す。

 ③は画像や言語などの汎用学習済みモデルと応用分野毎の準汎用学習済みモデルを用意し、目的ごとに適宜組み合わせてシステムを作る。少量のデータで高精度モデルを構築でき、管理と利活用を容易にするプラットフォームを構築する。

 これらの技術開発によりAIシステムの導入を促進し、2030年に日本産業の労働生産性20%超の向上(今年度比)を目指す考えだ。