出光興産 PVモジュールリサイクル技術、NEDO事業に

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2020年8月28日

 出光興産はこのほど、NEDOが実施する「太陽光発電主力電源化推進技術開発/太陽光発電の長期安定電源化技術開発」事業について、100%子会社のソーラーフロンティアが提案する「結晶シリコン及びCIS太陽電池モジュールの低環境負荷マテリアルリサイクル技術実証」が共同研究事業として採択されたと発表した。

パネルセパレータ処理後のCIS薄膜太陽電池モジュール
パネルセパレータ処理後のCIS薄膜太陽電池モジュール

 使用済み太陽電池(PV)モジュールは、2030年代から急激に増加することが予想されている。こうした背景から、ソーラーフロンティアでは、低コストかつ環境負荷の低いリサイクル技術の確立が重要であると捉え、継続的にCIS薄膜太陽電池モジュールのリサイクル技術開発を進めてきた。

 昨年度に取り組んだ、NEDOとの共同研究事業では、これまでの研究開発や技術実証で確立した低コスト分解処理技術をベースとして、CIS薄膜太陽電池モジュールの全ての部材に関するリサイクル用途を明確にし、マテリアルリサイクル(MR)率を約90%まで向上させるめどをつけた。

 今回、採択されたNEDOとの共同研究事業では、昨年度の研究開発で確立した技術を、より低コストで環境負荷の低いリサイクル技術へと進化させていく。

 具体的には、4年間(2020~2023年度)で、CIS薄膜太陽電池に加えて、結晶シリコン系太陽電池のリサイクル技術開発にも取り組み、分離処理コストをCIS薄膜太陽電池、結晶シリコン系太陽電池を問わず3円/W以下、MR率を90%以上とすることを目指す。

 同社の生産拠点である国富工場(宮崎県)に、市販サイズのモジュールを処理する実証プラントを構築し、最終年度までには目標としたリサイクル技術を連続運転により実証する予定。同研究開発では宮崎県工業技術センターや宮崎大学とも協働することで、リサイクル技術の開発をさらに加速させる。

 出光興産は中期経営計画の中で、重点課題の1つである「次世代事業の創出」の主な取り組みにサーキュラービジネスを掲げ、その一環としてPVモジュールのリサイクル技術開発を推進している。この計画の下、ソーラーフロンティアはリサイクル市場の拡大に備え、より低コストかつ環境負荷の低いリサイクル技術開発を行い、主力電源としての太陽光発電のさらなる普及拡大と持続可能な社会の実現に向けて貢献していく考えだ。

ソーラーフロンティア NEDO実証事業の概要
ソーラーフロンティア NEDO実証事業の概要