新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、廃プラスチックを適正に処理し資源として循環させるための「革新的プラッスチック資源循環プロセス技術開発」事業に着手すると発表した。今年度からの5カ年計画で事業予算は35億円、研究開発は4項目、委託先は24団体だ。
現在廃プラは年間約900万t、そのうち再生利用(マテリアルリサイクル)は約210万t(うち約90万tは輸出)、コークス炉やガス化原料(ケミカルリサイクル)は約40万t、固形燃料、発電、熱利用など熱エネルギー回収(エネルギーリカバリー)は約500万tである。
しかし最近のアジア新興諸国の輸入規制の強化や、SDGs、ESG投資などによる再生プラの利用拡大に対し、廃プラの資源価値を高め、経済的に資源循環させることが必要。リサイクル技術を発展させ、資源効率性の向上、付加価値の創出、CO2の排出削減が求められる。
資源循環は①再生方法に則した廃プラの選別、②同等性能材料への再生(マテリアルリサイクル)、③石油化学原料への転換(ケミカルリサイクル)、④再生困難な廃プラからのエネルギー回収・利用(エネルギーリカバリー)のプロセスから成り、各々に開発項目を設定した。
①は「高度選別システム」で、多種・混合、汚染廃プラを複合センシング・人工知能、ロボットを使って高速・高精度に自動選別する技術。②は「材料再生プロセス」で、劣化要因を解明しそれに応じた材料再生・成形加工する技術。③は「石油化学原料化プロセス」で、再生困難な廃プラを既存の石油精製・石油化学設備で分解・転換する技術。そして④の「高効率エネルギー回収・利用システム」は、再生困難な廃プラを、単純な焼却ではなく燃焼エネルギーを効率よく回収・利用する技術だ。
これら技術を適用し、2030年度までにこれまで国内で再資源化されていなかった廃プラのうち約300万t/年の有効利用を目指す。