ウレタンMDI 足元でスポット市況が大幅上昇

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2020年10月21日

中国で需要が急増、海外トラブルでタイト感強く

 ウレタン原料であるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)は、中国需要の急増と海外トラブルによる域外品の減少を背景に、ここにきて市況が上昇基調を強めている。足元の市況を見ると、モノメリックは2700ドル/t、ポリメリックは2200~2300ドル/tで取引されており、8月末に比べモノメリックで1000ドル/t程度、ポリメリックで600~700ドル/t程度と急騰している状況だ。

 コロナ禍を脱した中国では、政府の景気刺激策もあり、家電や住宅の需要が急速に回復。それらに使用されるウレタン断熱材の需要が伸長し、その原料となるポリメリック市況が上昇傾向を強めた。ただ、幅広い用途に使用されるモノメリックは、製品の需要回復が遅れ市況が低迷。MDIはモノメリックとポリメリックが併産されるため、全体の生産量を抑える要因となっていた。

 しかし、中国では経済活動の再開に伴い、コロナ禍の反動による「リベンジ消費」が拡大。消費者の購買意欲が高まり、モノメリックを原料としたウレタン製品の引き合いが急増しているもようだ。また、欧米のウレタンメーカーにトラブルが発生したことも背景に挙げられる。アジア市場への玉の流入が弱まり、需給バランスがタイト化したことで、需要家の間で玉を確保する動きが加速。これらの要因により、わずか1カ月の間にモノメリック、ポリメリックとも市況が大きく押し上げられる結果となった。

 こうした中、MDIのスプレッドも大幅に拡大している。原料であるベンゼン価格(ACP)は、

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