信越化学工業は18日、ゴム成形品の軽量化を実現する低密度タイプの成形用シリコーンゴムを開発したと発表した。LIMS(液状シリコーンゴム射出成形システム)材料では業界初となる。
ゴム成形品の軽量化ニーズは、自動車、航空機などの輸送機やウェアラブル端末など多方面にわたっており、軽量化によってシリコーンゴムのさらなる用途の拡大が期待される。これまでシリコーンゴムを軽量化させるためには、ミラブル型シリコーンゴムに発泡剤を添加してスポンジ状に成形していた。それに対し新製品は、発泡剤の添加が不要で、しかもLIMSにより成形できるため、成形メーカーからの高品質と生産性の向上に対する要求に応えることが可能だ。
新製品は、低密度・高強度タイプ(ゴム成形品の重量が従来比約20~30%低減可能)、および超低密度タイプ(同約50~60%低減可能)の2種類。いずれも、射出成形機による連続自動成形が可能になるため、高品質なゴム成形品を効率よく生産でき、生産性の向上だけでなく省エネルギーも実現できる。
同社は、シリコーンゴム成形のテクニカルセンター「シンエツ・モールディング・テクニカルラボラトリー」(埼玉県東松山市)を拠点に、新製品を使った成形の実演を行うとともに、成形技術の改善や顧客に対しテクニカルサービスの充実に取り組んでいる。シリコーンゴムは、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気特性など、一般の有機系ゴムにはない数多くの優れた特性を兼ね備えているため、自動車、電気・電子機器、OA機器、家電製品、日用品など、幅広い用途に使用されている。
同社は、優れた品質と技術力、そしてきめ細かな対応で、今後も多様化する市場のニーズに応えていく考えだ。