住友ベークライトはこのほど、リサイクルに適し熱成形(深絞り包装)が可能なポリエチレン(PE)モノマテリアル構成の包装用フィルムの開発に成功した。資源利用の効率化や環境配慮型技術の拡大、廃棄物の大幅削減に貢献できる。
近年、プラスチック全般に環境負荷低減が求められ、環境省の「プラスチック資源循環戦略」の1つに「2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクルすること」が掲げられている。包装用フィルムには様々な用途・要求があり、PEフィルムにナイロンなどの異種材料を積層して機能を高め、対応してきた。しかし、各種材料の分離は困難で、リサイクルできないことが課題であった。
今回、密度、分子量、構造などが異なるPEを積層することで、耐熱性、耐ピンホール性に優れたPEモノマテリアルフィルムを開発した。深絞り包装、イージーピール機能、ボイル殺菌、製袋加工が可能。使用後は破砕・溶融することで再度PEとして利用できる。冷凍・チルド食品の個包装用フィルム、医療機器・衛生用品の包装用フィルムとして、「容器包装のリサイクルしやすさ」を向上させる。
今後、同社の多層フィルム・シート「スミライト」CELのラインアップに加え、さらに酸素バリア性を向上したモノマテリアル材料の開発を進める。2025年度に年間10億円の売上を目指す。