出光興産 コロナ禍が中計に影響、収益計画を見直し

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2021年1月25日

カーボンニュートラルに貢献、中心的役割果たす

木藤俊一社長

 出光興産は、新型コロナウイルスの感染が拡大したことにより、ガソリンなど石油製品の需要が減少したことに加え、成長事業も海外市場が想定以上にダメージを受けている。木藤俊一社長は「昨年は、統合会社として中期経営計画2年目という大事な年だったが、新型コロナに振り回された1年だった」と振り返り、「収益計画については、数値目標を精査し改めて公表する」と明らかにした。

 また昨年9月に、菅首相が2050年カーボンニュートラル宣言を表明したことについては、「方向性が示された以上、CO2を長年扱ってきたプロフェッショナルとして中心的な役割を果たしていきたい」と強調。さらに「将来に向けて、次世代事業や研究分野も環境を意識し力を入れていた。相当なネタをもっており、R&Dの面で展開を図ることができるだろう」との見方を示した。

 EV化の加速については、「当社の知見を生かせるチャンス」と捉え、全固体電池の電解質や、軽量化に貢献する高機能プラスチックの開発に注力していく。サービスステーション(SS)については、「ガソリン車の減少に伴い、SSの存在意義が問われてくる。カーボンニュートラルに加え、地方創生が一つのキーワードになる」と指摘。同社が保有する6400カ所のSSを、未来志向のライフパートナーとして地域のニーズに応じた様々な業態に衣替えし、ネットワークの強みを発揮し生き残りを図る。

 逆風が吹いている石炭事業は、「次世代エネルギーとの「つなぎ」として位置づけ、CO2排出を抑える努力を継続しながら供給責任を果たす」としたが、将来的には事業縮小が見込まれるため微妙なかじ取りが必要であるとの認識を示した。

 一方、高付加価値化を図るケミカルシフトにも注力。昨年10月、ENEOSが停止する知多製造所のパラキシレン(PX)設備の譲受を検討すると発表した。木藤社長は、「(当社の)愛知製造所の留分を近場に供給できるメリットがあることに加え、設備の取得で生産能力が拡大し、PX市場でのプレゼンスも向上することができる」とし、前向きに検討していく考えだ。