帝人は8日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比6%減の6097億円、営業利益6%減の452億円、経常利益10%減の429億円、純利益11%減の268億円となった。電話会見で園部芳久代表取締役専務執行役員CFOは「売上高はコロナ下で医療用防護具の供給拡大による売上貢献があった一方、マテリアル事業での自動車・航空機用途の需要減、ヘルスケア事業における薬価改定影響があり減収となった。営業利益は、医療用防護具の貢献、堅調なヘルスケア事業の販売やIT事業の好調持続により減益幅を縮小した」と総括した。
マテリアルセグメントは減収・営業損失。アラミド繊維は、販売量が減少したが、各市場の回復に合わせて販売量は回復傾向にある。ポリカーボネート樹脂は、ノートパソコン向けの特需があったものの、事務機用途や自動車用途での需要が減少した。炭素繊維は航空機用途で販売量が大幅に減少し、風力発電やレクリエーション用途を強化。複合成形材料は米国自動車市場の急回復に伴い自動車部品の生産・販売が改善した。
ヘルスケアセグメントは減収減益。医薬品では高尿酸血症・痛風治療剤を中心に国内で薬価改定の影響を受けた。在宅医療は、睡眠時無呼吸症候群治療でのCPAPは、入院検査数が減少したが市場拡大は継続。在宅酸素療法(HOT)市場では、在宅医療で導入が増加しレンタル台数が増加した。
繊維・製品セグメントは増収増益。コロナ影響により需要が急増した医療用ガウンなどの早期大量供給が寄与した。感染予防のヘルスケア関連製品や水処理膜向けのポリエステル短繊維の販売が好調を維持。自動車関連部材は期間後半にかけて回復した。
ITセグメントは増収増益。電子コミック配信サービスは、上期から読者層の拡大を背景に引き続き好調に推移した。
なお同日、通期連結業績予想の修正を発表。売上高8100億円(前回予想比100億円増)、営業利益550億円(同50億円増)、経常利益530億円(同50億円増)、純損失100億円(同350億円減)を見込む。園部専務は「自動車を中心とする市場の回復や、販売費と研究開発費の減少が前回見通しを上回ることから売上高・営業利益・経常利益を上昇修正した。一方、コロナ影響により航空機市場が長期低迷する見通しにあることから、炭素繊維事業で減損発生懸念を織り込み純利益を下方修正した」と語った。