チッソは9日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比12%減の959億円、営業利益23億円(同30億円増)、経常利益20億円(同31億円増)、純損失21億円(同65億円改善)となった。
セグメント別に見ると、機能材料事業は減収。液晶材料は巣籠り需要が継続しており、足元では大型テレビやIT関連ディスプレイ用途を中心に販売は堅調となったが、4-6月期における需要減少の影響からの復調には至らなかった。シリコン製品は、コンタクトレンズ用途を中心に需要が好調に推移し販売が増加した。
加工品事業は減収。繊維製品は、国内における除菌シート、マスクなどのコロナ対策関連の需要が引き続き堅調に推移したことに加え、衛生材料向けの出荷が安定的に推移したことから、原綿および不織布の販売が増加した。肥料は、施肥作業の省力化が評価されている被覆肥料の国内出荷が堅調となったが、顧客の在庫調整により化成肥料の出荷が低調となったほか、コロナ影響を受けて海外需要が落ち込んだ。
化学品事業は減収。オキソアルコールは、原料ナフサ価格の下落により販売価格が低下したことに加え、大型定修の実施により出荷が減少した。一方、コロナ対策関連の需要が堅調となり、治療薬やワクチン製造向けに一部製品の販売が増加した。ポリプロピレンは、足元では主力の自動車関連の需要が回復基調となった。ポリエチレンは、主にレジ袋有料化の影響によりフィルム用途の需要が減少した。
商事事業は減収。主力のポリプロピレンの販売がコロナ影響を受けた。電力事業は増収。FIT活用に向けた既存水力発電所の大規模改修工事を引き続き推進し、安定した収益基盤の強化に注力した。また、一部の水力発電所は、「令和2年7月豪雨」による被害から完全復旧に至らず低稼働運転となったが、その他の各発電所は順調に稼働した。その他事業は減収。エンジニアリング事業は、前年の反動により売上は減少したが、新規案件の受注は好調に推移した。なお、通期業績予想については見直しを行っていない。