コスモ石油はこのほど、日揮ホールディングス、レボインターナショナルと石油資源開発が昨年来実施する「使用済み食用油を原料とした次世代航空機燃料(SAF:持続可能な航空燃料)」の国内のサプライチェーン構築に向けた事業化検討に参画すると発表した。航空機燃料の幅広いノウハウをもつ同社の参画で、2025年頃を目標とするSAF製造設備の稼働と本格商業化に向けた取り組みをさらに加速させる。
世界的な温室効果ガス(GHG)排出量削減の対応が求められる中、国際民間航空機関(ICAO)は2016年総会で、国際航空分野のCO2総排出量を今年以降増加させないことを目標とし、2019年の排出量を超過した分についてはCO2排出権の購入などを義務づけるCORSIA制度の導入を採択した。都市ごみ、植物・動物油脂、使用済み食用油や木材などバイオマス由来の原料や、製鉄所や製油所などの排ガスで製造するSAFの開発・安定供給が期待される。
欧米ではSAFの実用化が進み、国内航空会社も海外からSAFの調達を始める。国内製造のSAFは製造コストや供給安定性が課題で、経済性の高い製造体制と、原料調達から供給までの安定的なサプライチェーンの構築が急務だ。
現在この4社は、原料の使用済み食用油の調達計画、欧米で実績のある技術を使う製造プロセスの導入、製造設備のコスト積算、製品輸送・販売スキームなどを中心にサプライチェーン構築に向けた検討と、航空会社や航空機燃料供給の関係官庁などとの連携強化を進め、2025年頃の本格商業化に向けて取り組んでいる。
SAF製造設備を全国展開し製造コストを低減し国内マーケットを確立するために、既設製油所内での建設を想定した装置・プロセス設計を行い、純国産資源を使う地産地消モデルの構築を目指す。
航空機燃料は特に厳格な品質管理が要求され、同社の製造から貯蔵、輸送、給油に至るノウハウは必須であり、国内のSAFサプライチェーン具現化に向けた大きな前進だ。四社は同事業の拡大によりGHG削減を推進し、持続可能な循環型社会の形成に貢献していく。