帝人はこのほど、炭素繊維中間材料をスポーツ用途に向けて展開する新たなブランド「TENAX PW」(テナックス パワーシリーズ)と「TENAX BM」(テナックス ビームシリーズ)を立ち上げたと発表した。
近年、スポーツ分野において、高いパフォーマンスを発揮するために関連用品に最先端素材を採用するケースが増加。中でも軽量で剛性に優れる炭素繊維は、各種スポーツ用品に向けた開発が進み幅広く使用されている。帝人も、70年代からスポーツ用途に向けて積極的に展開し、釣り具やゴルフシャフト、テニスラケットなどに炭素繊維および炭素繊維中間材料が広く採用されてきた。
同社が製造・販売する炭素繊維「テナックス」は、ラテン語で「強靭」という意味をもち、鉄の10倍の高強度と鉄の4分の1の軽量性を両立。その航空・宇宙用途に用いられる「テナックス」使用の中間材料を、スポーツ用途に向け2つの新たなブランドとして展開する。
「TENAX PW」は、パワーやスピードを求めるユーザーに向けたブランドで、航空機に求められる靭性向上技術を用いた炭素繊維中間材料。高強度・高弾性率の樹脂を使用しているのが特徴で、衝撃を吸収することにより損傷面積を抑えることができ、標準品に比べて圧縮強度が高い。スポーツ用品の強度やスピードの向上によりユーザーに貢献できる。
一方、「TENAX BM」は、コントロール性を求めるユーザーに向けたブランドで、人工衛星に搭載される製品の技術を活用した炭素繊維中間材料。剛性、直進性、操作性、安定性、振動吸収性、振動減衰性に優れているのが特徴で、標準品と比較して振動を約4分の1に抑えることができる。衝撃が加わった際のスポーツ用品の変形を極小化するとともに、ブレの抑制も可能にする。
帝人は今後、両ブランドの展開を進めるとともに、炭素繊維製品の開発をさらに強化し、革新的な高性能材料とソリューションを提供することで、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」となることを目指していく。