発泡スチロール協会(JEPSA)は1日、2021年記者発表会を開催した。青井郁夫会長(カネカ常務執行役員)は、「コロナ禍の経験から衛生環境に関する関心が高まり、また菅総理の『2050年カーボンニュートラル』宣言、『プラスチックに係る資源循環の促進などに関する法律』が成立するなど一般社会からもプラスチックの環境問題も注目を集めている」とし、「地球環境を守る『持続可能な社会』実現に向けて、発泡スチロール(EPS)の特性などの理解を深め、高いリサイクル率を維持し、『資源としての有効利用率の向上』を目指す」と語った。
2020年(暦年)の使用済みEPSの有効利用率(リサイクル率)は昨年から1.3ポイント改善し90.8%となり、再び90%超となった。内訳を見ると、マテリアル・リサイクル(MR)が52.9%(ケミカルリサイクル0.8%含む)と同1.5ポイント増加。今年1月から廃プラ輸出入にバーゼル法が適用されているが、異物・汚れのないEPSインゴットは規制の対象外となっている。エネルギー・リカバリー(ER)は37.9%、未利用率(単純焼却と埋立など)は9.2%だった。青井会長は「プラスチックの中で高い有効利用率、MR率を維持できていることは、EPSに関わる全ての関係者の努力の賜物だ」と感謝の意を表した。
続いて、2020年のEPS業界の環境を説明。昨年の出荷実績は前年比4%減の12万3000tとなった。用途別に見ると、水産部門が同3%減。イカ・サンマが不漁になったことに加え、飲食業の稼働低下の影響もあり魚箱需要が減少した。農業部門は前年並み。食品鮮度保持機能を生かした輸送容器分野で、賞味期限の延長や食品ロス低減を期待した需要などが堅調だった。
弱電部門は同10%減。グローバルなコロナ禍による家電の部品輸入遅延など、サプライチェーンの分断による生産低下や景気低迷の影響を受け大きく減少した。
建材・土木分野は同10%減。コロナ禍により中国などからの住設製品供給が切迫し、国内も工事遅延の影響があった。
その他は同6%増。ライフグッズであるビーズクッション、宅配を含めた物流容器・資材や新規用途の拡大が寄与した。また、その他は1年以上使用される製品の割合が47.7%と、建材・土木分野(99.1%)に次いで高い。
今後も使い捨てではなく、耐久部品・製品への用途拡大が期待される。