AGCはこのほど、バイオ医薬品CDMO事業子会社である米AGCバイオロジクスが、ノバルティスの子会社がもつ遺伝子治療薬工場(米国コロラド州)を買収する契約を締結したと発表した。現在、最終デューディリジェンスを実施しており、完了後に譲渡される予定。
今回の案件は、昨年買収した伊モルメド社(現・AGCバイオロジクス)に続く、遺伝子・細胞治療分野での事業増強となる。成長著しい遺伝子・細胞治療分野で、拡大する顧客の製造委託ニーズを満たすため、イタリアでの設備増設に加え、世界最大市場の米国で製造能力を確保する。買収完了後は、ノバルティスから譲り受けた同工場をAGCバイオロジクスのネットワークに取り込み、旧モルメドの商用GMPに対応した遺伝子・細胞治療CDMOサービスの知見を取り入れるとともに、同工場の6万㎡を超える床面積を最大限に活用し、サービスを拡張していく。また、プラスミドDNA製造受託をすでに事業化しているAGCバイオロジクスの独ハイデルベルグ拠点とのシナジーを発揮し、遺伝子・細胞治療薬の原料であるプラスミドから遺伝子・細胞治療薬まで一気通貫したCDMOサービスを提供していく。
AGCグループはバイオ医薬品CDMO事業を含むライフサイエンス事業を戦略事業の1つと位置づけ、合成医農薬CDMO、動物細胞と微生物によるバイオ医薬品CDMOで積極的な買収・設備投資を行い、その事業を拡大させてきた。さらに、2020年には成長著しい遺伝子・細胞治療分野に事業の幅を広げ、2025年の目標として売上高1800億円以上を掲げている。今後も各地域の顧客にグローバルで統一された高水準の品質・サービスを提供できるよう、各拠点のシナジーを最大限に発揮させ、製薬会社、患者、そして社会に貢献していく。