ENEOSはこのほど、「第56回 ENEOS児童文化賞」と「第51回 ENEOS音楽賞」の受賞者を決定した。児童文化賞は絵本作家の田島征三(たしま・せいぞう)氏、音楽賞の邦楽部門は清元節浄瑠璃方の清元美寿太夫(きよもと・よしじゅだゆう)氏、洋楽部門の本賞は滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールと沼尻竜典(ぬまじり・りゅうすけ)氏、同奨励賞にはオーケストラの広島交響楽団が選ばれた。
田島氏は1965年に絵本「ふるやのもり」で作家デビュー以来、絵本、絵画、イラストレーション、エッセイ、造形作品などを発表し続けている。新潟県十日町の廃校を利用した「絵本と木の実の美術館」では「空間絵本」にチャレンジ、また、「日・中・韓平和絵本」プロジェクトを主導するなど、多様で意欲的な作家活動を展開。半世紀以上にわたり常に斬新で意欲的な挑戦をし続け、絵本文化をけん引してきた。
清元氏は長きにわたり、清元節の太夫としてその美しいのどで多くの人を魅了している。歌舞伎や舞踊の会をはじめ、素浄瑠璃の演奏会でも同氏はなくてはならない存在であり、安定した語りは高く評価されている。40年あまり共に演奏してきた三味線の清元美治郎氏と開いた演奏会「二人会」など、一連の活躍で2014年度芸術選奨文部科学大臣賞を受賞し、その実力が広く認められた。
びわ湖ホールは「創造する劇場」との看板を掲げて1998年に設立。芸術諸分野でまさに創造的な活動を展開し、都市圏の劇場にも増して傑出した存在感を示し続けてきた。特に音楽分野では、若杉弘初代芸術監督の下、ヴェルディ日本初演作品シリーズで大きな成果を上げ、続く2代目の沼尻氏の下でも、「リング」全曲などのワーグナーや、近現代のオペラ作品の上演で圧倒的な成功を成し遂げ、今や日本のオペラ制作や上演に欠くべからざる存在となっている。
広島交響楽団は1963年に「広島市民交響楽団」として設立、1970年に広島交響楽団へと改称し、1972年にプロ化した。国際平和文化都市〝広島〟を拠点に、近年は〝Music for Peace~音楽で平和を~〟を旗印に活動する。下野竜也音楽総監督の下、その意欲的な音楽づくりが注目を集めいている。昨年はコロナ禍に直面しつつも被爆ピアノによる藤倉大氏の新作協奏曲「Akiko’s Piano」の世界初演を敢行した。
ENEOSは1966年に児童文化賞、1971年に音楽賞を創設して以来、約半世紀にわたり日本の児童文化・音楽文化の発展に大きな業績をあげた個人または団体を顕彰している。なお、表彰式は11月19日にパレスホテル東京(東京都千代田区)で開催し、正賞としてトロフィー、副賞として賞金200万円を贈呈する。