NEDO 水素の利活用拡大へ、調査・技術開発を開始

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2021年8月25日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、再生可能エネルギーから製造した水素や海外産水素、副生水素などをコンビナートや港湾、工場などで大規模に利活用するモデルを創出していくため、今回14件の調査・技術開発テーマを採択した。

 水素は化石燃料や水の電気分解、工業プロセスの副産物(副生水素)など様々な資源から製造できるほか、利用時にはCO2を発生しないことから、電力部門と非電力部門の両方を脱炭素化することができる。また、需要以上に発電し余剰となった再エネを水素に変換し貯蔵・利用できることや、化石燃料をクリーンな形で有効利用できることから将来のエネルギーキャリアとして期待されている。

 こうした中、NEDOでは1980年代から燃料電池や水素ステーション、大規模水素サプライチェーン、P2G(再エネの電力を水素に転換し利用するシステム)などの技術開発に注力。しかし、現在も技術的課題やインフラ整備状況、経済性などの課題により、水素の大規模な普及拡大にはつながっていない。

 そこでNEDOは、再エネから製造した水素や海外産水素、副生水素などをコンビナートや港湾、工場など特定の地域で大規模に利活用するエネルギーシステムのモデルを創出していくため、11件の調査テーマと3件の技術開発テーマを採択。この中で将来の経済性やGHG(温室効果ガス)削減効果などの可能性を探る調査や、日本国内での海外産水素の大規模受け入れ基地の検討、実環境を想定した水素製造・利活用技術の開発について支援に取り組み、水素を活用した統合的なエネルギーシステムモデルの構築を効率的に促進していくことを目指す。

 NEDOは、同事業を通じて地域特性に応じた水素社会実装モデルを構築することで、各分野での普及を後押しし、水素利活用の拡大に貢献する。