三菱ケミカルホールディングスは20日、2050年のカーボンニュートラル(CN)実現に向けた方針を発表した。
同社は。中長期経営基本戦略に、GHGインパクトニュートラルが達成されていることを2050年に目指すべき社会の1つの条件として掲げ、その実現のため、バリューチェーン全体を通じたGHG低減・有効活用などの施策を推進。今回、世界各国・地域の状況を踏まえ、グローバルなGHG削減目標(スコープ1、2)および方針を策定した。
まず、2030年度までにGHG排出量を、グローバルで29%削減(2019年度比)する。製造プロセスの合理化、自家発電用燃料転換などによる削減(自助努力)のほか、2030年度に世界各国・地域のCO2排出係数を前提に電源構成に基づく削減(外部要因)を行う。
そして、2050年までにGHG排出量を実質ゼロとするCNを達成する。製造プロセスの合理化継続、バイオマス原料の活用やCO2の原料化などのイノベーションの実装に取り組むことに加え、植林などによるカーボンオフセットも図る。
ただ、各国政府・機関・企業などのイニシアティブによる、CO2フリーの電力供給、水素・アンモニアなどのサプライチェーンの確立と低価格化、CNに向けた研究開発・設備投資への補助などを前提条件(外部要因)とした。なお、設備投資については、2030年度までに約1000億円を見込んでいる。
一方、同社グループの主要会社である三菱ケミカルは、CN達成に向けたGHG排出量の削減目標(スコープ1、2)として、2030年までに世界は32%以上(2019年度比)、日本は43%以上(2013年度比)を設定した。
取り組みとして、①エネルギー転換の実施、②社内炭素価格制度の導入、③ライフサイクルアセスメント実施体制の強化、を掲げる。
具体的には、①では、2030年度までに国内事業所・工場において再生可能エネルギー・LNGなどを導入し、石炭火力発電からの脱却を目指す。
②では、GHG排出削減と事業成長の両立のため、2022年度から社内炭素価格制度を導入。スコープ1、2に加え削減貢献も評価対象とし、設備投資の判断指標の1つとして活用する。今後は、研究開発の投資判断にも制度対象を拡大させ、事業ポートフォリオ戦略の指標としていく。
③では、2022年度上期中に国内事業所・工場で生産される全製品について、カーボンフットプリントを速やかに算定できる体制を確立する。デジタル化や従業員への教育を推進し、スピーディーに算定を行うことで、製品チェーン全体でのGHG排出削減に向けた取り組みを加速させる。