デクセリアルズ 熱伝導シート発売、長期信頼性と柔軟性

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2021年11月24日

 デクセリアルズはこのほど、高い熱伝導率と柔軟性を両立した熱伝導シート、シリコーンタイプ「ZX11N」を製品化し、販売を開始した。同製品は、長期信頼性に優れ、長期間の使用でも劣化や性能低下が少ない。同社は、5G通信基地局やデータセンター(DC)、自動運転の情報処理を担うICチップの放熱用途などに積極的に提案を進めていく考えだ。

熱伝導シート シリコーンタイプ「ZX11N」

 近年、5G通信の実用化などにより通信量が飛躍的に増加し、またエレクトロニクス機器や自動車の高機能化・高性能化によりICチップが処理する情報量も増加している。ICチップは動作周波数を高めてコア数を増やすことで処理能力を向上させているが、半導体であるICチップは自身の抵抗をもつため動作量に応じて熱が発生し、その熱対策が重要な課題となっている。

 熱伝導シートは発熱するICチップとヒートシンクなどの間を埋めて密着させることで、熱を効率的に逃がす役割を担う。高い熱伝導率と密着・段差吸収のための柔軟性が求められるが、材料(フィラー)を多く使用するとシート全体が固くなってしまうため、一般的に熱伝導率と柔軟性はトレードオフの関係にあった。

 こうした中、同社が新たに開発した「ZX11N」は、11W/m・Kの高い熱伝導率と柔軟性を両立。同社が熱伝導シートの炭素繊維タイプで培った独自の配向技術を活用することで、向きによって熱伝導率が異なる窒化ホウ素(BN)フィラーを整列させて配置し、熱伝導シートとして高い熱伝導率を実現した。また、使用するフィラーの量も少ないため柔軟性も兼ね備えている。

 さらに、BNフィラーは長期的に安定かつ絶縁特性をもつため、熱伝導シート全体として高い信頼性と絶縁特性を保持することができる。同社は、同製品以外にも高熱伝導率をもつハイエンドの熱伝導シートとして炭素繊維タイプもラインアップしており、使用アプリケーションや部位にあわせた製品の提供が可能。今後も、技術革新が進む領域に新たなソリューションを提供していく。