マイクロ波化学はこのほど、ペプチド・核酸医薬などの合成を用途としたマイクロ波固相合成装置「PharmaWave‐1」(容量3ℓ、最低0.3ℓ)の販売を開始すると発表した。
ペプチド・核酸医薬などの中分子化合物は、従来の低分子医薬と抗体医薬の特徴を併せもち、従来では狙えなかった標的にもアプローチできる次世代医薬として関心が高い。同時に、薬価低減や薬効の追求のために、製造の高効率化、高純度化が求められている。
医薬分野ではマイクロ波は身近な存在であり、創薬研究を目的とした実験室での化合物合成に広く用いられ、実際に、マイクロ波による合成効率向上や時間短縮について、数多くの報告がなされている。ただ、工業的にマイクロ波が利用された例はなかった。
同社は、当該分野でのマイクロ波技術の普及を目指し、2017年にはペプチドリームとペプチド量産設備に関する共同開発を開始し、2019年にはペプチスターへGMP(医薬品、医薬部外品の製造管理および品質管理の基準)に準拠した仕様の固相合成装置を納入してきた。今年に入り核酸医薬研究の先駆者である大阪大学の小比賀教授を技術アドバイザーに迎え、また、これら医薬品の精製に使われる凍結乾燥機も開発するなど、展開を加速している。
今回、マイクロ波固相合成装置の提供により、従来は実験室での利用に限られていたマイクロ波による医薬合成が、そのまま工業スケールでも活用可能になり、高効率・高純度な医薬品製造の実現に貢献することが期待される。同社は今回の販売を機に、マイクロ波を使った高効率・高純度・環境にやさしいものづくりを医薬分野に広めていく。