インドPVC輸入 9月は大幅増で14万t台に

,

2021年12月17日

需要期を前に需要が回復、日本シェア一位に浮上

 貿易統計によると、インドの9月の塩ビ樹脂(PVC)輸入は、前年同月比15.6%減の14万2500tとなった。7、8月は8万t台にまで落ち込んでいたが、大きく数量を伸ばしている。その背景として、モンスーン期(6―9月期)明けの需要期を前に在庫が低下したことや、市況下落に伴い需要家の引き合いが強まったことが挙げられる。仮にこのペースを維持すれば、2021年(暦年)のPVC輸入量は170万t超となり、コロナ影響で大きく落ち込んだ昨年の実績(161万7000t)を上回る見通しだ。

 9月の輸入を国別でみると、1位は日本(4万400t:シェア28.4%)が2位から浮上した。数量も3月以来6カ月ぶりに4万t台を回復している。4月以降は各メーカーの定修や、コンテナ不足の問題により2万t前後の低水準で推移していたが、ようやく以前のレベルにまで戻ってきた。

 2位は台湾(2万6200t:シェア18.4%)が順位を下げた。前年同月比ではマイナスとなったが、前月からは数量を伸ばしており、安定した輸出を継続している。

 3位の韓国(2万5200t:同17.7%)は、4カ月ぶりに2万t台を回復し台湾に肉薄した。4位のタイ(1万2400t:同8.7%)も、2カ月連続で1万t台と数量を増やしている。

 5位の中国(8500t:同6.0%)は2カ月連続で1万t割れとなった。ただ、前月比では増加しており、今後インド市況が上昇すれば、輸出を強めてくると見られる。

 6位のUAE(4000t:同2.8%)は8月(600t)からは持ち直した。それに対し、米国(1300t:同0.9%)は、5月以降は1000t台近辺の低水準が続き、ロシアは数量がカウントされていない。PVCは世界的にタイトな状況が続いていることから、遠隔地であるアジア地域への輸出を抑えているようだ。

 インドは、コロナ禍から立ち直りつつあり、経済活動が活発化している。10月以降についても、PVCは需要が強まることが想定され、輸入量は増加してくる可能性が高そうだ。