信越化学工業は20日、心拍数や心電波形などの生体情報を、身体に装着したまま測定し、送信する機器(ウエアラブルデバイス)の特性向上に資する「生体ドライ電極」と「高伸縮性配線材料」を新たに開発したと発表した。この材料により、ウエアラブルデバイスが備える機能、装着性と使いやすさが飛躍的に向上し、使用者に高い「QOL」(生活の質)を提供することが期待される。
健康管理への意識や在宅治療の必要性が高まる中、ウエアラブルデバイスによる生体情報を測定する機会が増加。特に24時間以上、肌に直接装着し生体情報を取得するヘルスパッチの場合、装着者には不快感によるストレスが生じる。また、1週間におよぶ長期の測定では、生体信号の取得が不安定になることも起こり得る。
こうした中、同社は、これらの課題解決に貢献できる2製品を新たに開発した。「生体ドライ電極」は、生体適合性に優れたシリコーンをベースに、ウエアラブルデバイスで生体信号を取得する入り口の働きをする電極。特長として、着けていることを感じさせない装着感、安定した心電図信号の取得、装着したまま入浴を可能とする耐水性、などが挙げられる。
一方、「高伸縮性配線材料」は、取得した生体信号を信号処理デバイスへ伝達する材料。ヘルスパッチの配線には、装着者の動きに合わせた細やかな追従性が求められるが、同材料は伸縮テストを繰り返し行っても導電率が保たれ、長時間の装着に耐える強度を備えている。
同社は、ウエアラブルデバイスの進化に寄与する材料を提供することにより、健康不安を抱いている人々の負担の軽減と医療の効率化に取り組み、人々が健康な生活と長寿を享受できる社会の実現に貢献していく。
なお、これらの材料を用いたヘルスパッチは、ドイツで開催された「MEDICA Connected Healthcare Forum」において、ホルストセンター社により紹介された。