田辺三菱製薬はこのほど、連結子会社であるメディカゴ社(カナダ ケベック市)が、新型コロナウイルス感染症の予防を目指して開発している植物由来のウイルス様粒子(VLP)ワクチン(開発番号:MT‐2766)について、カナダで承認申請を行ったと発表した。なお、MT‐2766はグラクソスミスクライン社(英国)のパンデミックアジュバントを併用している。
MT‐2766は、カナダで今年4月よりローリングサブミッションの審査を開始。第2/3相臨床試験の第3相パートでの良好な結果をもとに、申請資料の最終部分としてデータを提出しており、メディカゴ社は18歳以上の健康成人に対する審査と承認を求めている。カナダで承認されれば、ヒト用VLPワクチンならびにコロナワクチンとして世界初の植物由来ワクチンとなる。なお、冷蔵(2~8℃)での保存・流通が可能だ。
一方、日本においても第1/2相臨床試験を今年10月から実施中。カナダ申請に用いたデータに日本の臨床試験結果を加えて、来春の承認申請を目指している。今後、WHO、米国、英国への承認申請も行う予定。
また今後、オミクロン株に対するMT‐2766の抗体反応を確認する試験を実施予定であり、その他、MT‐2766、mRNAワクチン、アデノウイルスベクターワクチン既接種者に対するブースター試験を早期に実施できるよう検討を進めている。さらに小児への試験も予定している。
同社グループは、中期経営計画において、ワクチン領域を、中枢神経・免疫炎症領域とならぶ重点領域と位置づけ、ワクチン領域においても新しいモダリティの開発に注力。新しいタイプのワクチンとなる植物由来VLPワクチンという選択肢を届けることで、世界の最重要課題である感染症予防により一層貢献していく。