SABIC レーダー用の低ノイズ・高導電・高流動樹脂

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2023年7月21日

 SABICはこのほど、先進運転支援システム(ADAS)に適した高機能材料「LNP STAT‐KON」コンパウンドの新製品「WDF40RID」と「WDF40RI」を発表した。ガラス繊維強化グレードで、レーダー内外部の吸収体の設計と加工性を改善し、センサーの精度と利用可能範囲を大幅に向上させる。

 ミリ波レーダーは、遠方の物体の確実・高解像度の情報を得られるが、信号対雑音比の改善が課題だ。今回の新製品は、優れた誘電正接による高吸収率・低反射率によりノイズを最小限に抑え、さらに高い流動性と優れた低反り性により、レーダーの内外部に装着する単層吸収体の新たな設計を可能にする。

 「WDF40RID」は電磁波に対し高い吸収率(77㎓で最大75%)と低い反射率(同最小25%)を示し、フラット形状の設計でも現行材料を各々約10%上回る。ノイズを大幅に低減し、ゴーストイメージに加えて主ビームの外側に拡がる電波のサイドローブの干渉を最小化し、解像度と精度を向上させる。

 「WDF40RI」は、メタルバック電波吸収体向けに電波吸収率を80%近くまで高め、反射率を20%以下に抑えたため、メタルバックと併用することでノイズを完全に遮蔽。両グレードとも、75~110㎓のミリ波周波数全域で一貫したノイズ遮蔽性能を発揮する。従来の電波吸収体材料は導電性添加剤を配合しており、一般的に流動性が低く、薄肉の内部吸収体や大型の外部吸収体の設計には制約がある。

 「WDF40RID」は流動性を向上させ、レーダー内部吸収体は1㎜までの薄肉成形が可能で、サイドローブノイズを低減し、内部スペースも確保できる。ショートショットによるスクラップは減り、最大20㎝の流動長でも寸法安定性に優れ、低反り性であるため、大きな曲面をもつ外部吸収体も可能となり、隣接する金属部品からのノイズを低減できる。

 同社は、これら新製品を通じて、ADASレーダー技術の進展に貢献していく考えだ。