東レが9日に発表した2020年3月期第1四半期連結決算は、売上高が前年同期比1%減の5442億円、営業利益は同2%増の345億円、経常利益は同4%減の339億円、純利益は同1%減の226億円となった。
セグメント別では、繊維事業は売上高が同6%減の2088億円、営業利益は同20%減の148億円。国内では自動車関連用途の1部で需要が堅調に推移したものの、衣料・産業用途ともに総じて荷動きが低調だった。海外では米中貿易摩擦の長期化と中国経済減速により、各用途で市況低迷の影響を受けた。縫製品やテキスタイルなどの衣料用途のほか、欧州・中国の自動車関連用途や中国の衛材用途などの需要が低調に推移した。
機能化成品事業は売上高が同6%減の2000億円、営業利益は同1%減の170億円。樹脂事業は国内向けがほぼ堅調、海外は中国経済減速の影響を主因に、自動車・家電用途とも低調だった。ケミカル事業は基礎原料の市況下落の影響を受けた。フィルム事業はリチウムイオン2次電池向けバッテリーセパレーターフィルムの出荷が拡大したが、ポリエステルフィルムの光学用途や電子部品関連で在庫調整の影響を受けた。電子情報材料事業は有機EL関連部材が好調だった。
炭素繊維複合材料事業は売上高が同34%増の615億円、営業利益は同90%増の59億円。航空機向け需要が拡大し、圧縮天然ガスタンクや風力発電翼といった環境・エネルギー関連向け一般産業用途も好調だったほか、スポーツ用途の需要が回復するなど、総じて堅調に推移した。
環境・エンジニアリング事業は売上高が同5%増の574億円、営業利益は同25%減の14億円。水処理事業は国内外で逆浸透膜などの需要がおおむね堅調だった。ライフサイエンス事業は売上高が同2%減の124億円、営業利益は同284%増の6億円。医薬事業は経口プロスタサイクリン誘導体製剤ドルナーが、国内で後発医薬品の影響を受けた。経口そう痒症改善薬「レミッチ」は、後発医薬品発売に伴う流通在庫調整の影響を受けた前年同期から大きく数量を伸ばした。
通期の業績予想に変更はなく、売上高が前期比6%増の2兆5300億円、営業利益は同13%増の1600億円、経常利益は同15%増の1550億円、純利益は同17%増の930億円を見込んでいる。