昭和電工は8日、電子材料用高純度ガス事業強化のため、上海に第二工場を建設することを決定したと発表した。
上海昭和電子化学材料(SSE)の隣接地に第二工場用地として約1万㎡を取得(50年間の土地使用権)し、高純度N2O(亜酸化窒素)年産1000t、高純度C4F8(オクタフルオロシクロブタン)年産600tの製造設備と、高圧ガス危険物倉庫を建設する。第二工場の稼働開始は2021年下半期の予定。
高純度N2Oは主に半導体やディスプレイ製造時の酸化膜の酸素源として、高純度C4F8は主にその酸化膜の微細加工(エッチング)などに使用される特殊ガス。中国では、第5世代移動通信(5G)など情報通信分野の発展と政府による産業育成政策により、今後も半導体とディスプレイ市場(有機ELテレビなど)の拡大が見込まれる。
同社は現在、高純度N2Oは川崎事業所と韓国で、高純度C4F8は川崎事業所と上海(SSE 第一工場)で生産しているが、拡大する市場に対し安定供給などの対応力を高めるため、〝地産地消〟施策を推進する。
また中国で年々化学品への規制が強化される中、中国上海に自社所有の高圧ガス危険物倉庫を確保・拡充することは、サプライチェーンの強化、競争力の向上に大きく寄与する。同社の持つ製造・品質管理技術を組み合わせ、顧客に最適な供給体制を整えることで、さらに事業を強化していく。
また、半導体市場は、台湾でも同様に拡大が見込まれるため、同社の現地製造子会社「台湾昭和化学品製造」でも高純度C4F8の製造設備(年産150t)を新設し、今春の稼働を予定している。今回の投資額は、上海・台湾を合わせ、約30億円となる。
同社グループは、個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)としており、電子材料用高純度ガス事業は個性派事業の一つ。今後も品揃え・供給体制を充実させていくことで、世界の電子材料市場の拡大に対応し、さらなる事業競争力・収益性向上を図っていく。