昭和電工 次世代記録技術に対応、HDメディア製造技術を開発

, ,

2020年2月7日

HAMR媒体の透過型電子顕微鏡画像・平面
HAMR媒体平面の透過型電子顕微鏡画像

 昭和電工は6日、ハードディスクドライブ(HDD)の次世代記録技術である熱アシスト磁気記録(HAMR)に対応した次世代HDメディアの製造技術を開発したと発表した。

 クラウドサービスの普及や動画コンテンツ、画像共有サイトなどの急拡大により世界のデータ生成量は年率40%以上の増加が見込まれ、大量のデータを保管するデータセンターでは、より大容量のHDDが求められている。

 HDメディアは磁性体粒子の極性により情報を記録するが、従来の磁気記録方式はデータ記録密度の向上スピードが鈍化しており、熱的に安定な磁性体粒子を微細化し、かつ情報の書き直しを容易にするHAMRなどの新しい記録方式と、それらに対応する次世代HDメディアが必要とされている。

HAMR媒体断面の透過型電子顕微鏡画像
HAMR媒体断面の透過型電子顕微鏡画像

 同社は、HAMR対応HDDの製品化に貢献するため、最も強力な磁性材料の1つで耐食性にも優れるFe‐Pt系磁性合金薄膜を用い、磁気記録層の層構成、メディア製造時の温度制御などに独自の工夫を加えることにより、現在の最先端HDメディアの数倍もの高い保磁力を持ちながら、結晶粒径の微細化と最適な分散制御により低ノイズを実現し、電磁変換特性・耐久性ともに業界最高レベルに達するHDメディアの製造に成功した。今後、本格的な供給へ準備を進めていく。

 昭和電工グループは、個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)としており、ハードディスク事業は当社の個性派事業のコアの1つと位置づけている。

 今後も〝ベスト・イン・クラス〟をモットーに、世界最大のメディア専業メーカーとして、HAMR、MAMRなどの次世代記録技術に対応した業界最高クラスの製品をいち早く市場に投入し、HDDの高容量化に貢献していく考えだ。