AGCは7日、スペインの合成医薬品CDMO(医薬品開発製造受託)事業子会社であるAGCファーマケミカルズヨーロッパ社での設備増強を決定したと発表した。既存の製造設備を改修し生産能力を1.3倍に増強するとともに、研究開発施設を新設する。新研究開発施設は2021年3月、増強設備は2022年5月より稼働を開始する予定。
100%子会社のAGCファーマケミカルズヨーロッパ社は、欧州で合成医薬品を中間体から原薬まで一貫して生産する体制を構築するため、昨年3月にベーリンガーインゲルハイム社(ドイツ)よりMPC社を買収し、同年10月に社名を変更した。
GMP(適正製造規範)に対応した医薬品原薬の製造で長い歴史と豊富な実績を持ち、開発医薬品から商用医薬品まで幅広いスケールの生産に対応している。合成医薬品CDMO市場は年間約7%以上の成長を続けており、同社の受託件数はそれを上回る勢いで増加している。
今回、旺盛な需要に対応するため、既存の製造設備を改修し医薬品原薬生産能力の増強を決定。新たに粉砕設備を導入し、増加する医薬品原薬の粉砕需要にも対応が可能となる。さらに既存の研究開発施設に加え、新規受託品のプロセス開発を行う研究開発施設を新設することで、開発スピードを加速させていく。
AGCグループは、合成医薬品CDMO事業を含むライフサイエンス事業を戦略事業の1つと位置づけており、2025年に1000億円以上の売上規模を目指している。買収と合わせ、日本・米国・欧州の各拠点で積極的な設備投資を行っており、今後も大きな需要の伸びが見込まれるライフサイエンス事業については、各地域の顧客にグローバルで統一された高水準の品質・サービスを継続して提供していく。同時に、各拠点のシナジーを最大限発揮することで技術力を向上させ、製薬会社と患者、そして社会に貢献していく考えだ。