東レ 車載コンデンサ向けにOPPフィルム生産能力を増強

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2020年5月20日

 東レはこのほど、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)「トレファン」の生産能力を増強すると発表した。東レ土浦工場(茨城県土浦市)に生産設備を増設し、2022年の稼働を予定。車載コンデンサ用フィルムの需要拡大に対応するため、生産能力を現行比1.6倍に拡大する。

 「トレファン」はプラスチックフィルムの中でも軽く、強靱性・電気特性・機械的特性に優れたフィルム。主力用途であるフィルムコンデンサは、家電・IT機器向け電子部品のほか、電動化車両(xEV)のモーターを駆動させるパワーコントロールユニット(PCU)のインバーター回路に使用されている。

 xEVの運転性能と燃費の向上、さらには車内空間の確保と設計の自由度向上のためには、PCUやフィルムコンデンサの小型・軽量化が求められている。これには、フィルムを薄膜化することが最も有効だが、薄膜化すると耐電圧性が悪化するという課題があった。

 「トレファン」は、独自技術により薄膜化と高耐電圧化の相反する性能を両立できることから、車載コンデンサ用フィルム市場ではトップシェアを持つ。近年、世界各国・地域で自動車に対する環境規制強化が進み、xEV市場は環境規制の厳しい欧州や中国を中心に年率約20%の高成長が見込まれている。今後のさらなる車載コンデンサの需要拡大に応えるため、土浦工場での「トレファン」の生産能力増強を決定した。

 東レは今後も「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の企業理念の下、土浦工場での早期の生産能力拡充により、成長市場の取り込みを図り、より一層の事業拡大を目指す考えだ。