三洋化成工業はこのほど、板状の超軽量透明断熱材「SUFA(スーファ)」の事業化を進める素材系ベンチャーのティエムファクトリ(東京都港区)に出資を行った。「SUFA」の事業化を支援し、持続可能な社会の実現に貢献していく方針だ。
地球温暖化防止対策は喫緊の社会課題であり、温室効果ガス(CO2)の排出量削減が強く求められている。省エネ対策の一環である冷暖房の効率向上や熱の有効利用の面から、断熱材の重要性が再認識されている。
「SUFA(Super Functional Air)」は、ティエムファクトリと京都大学が開発した全く新しい断熱材(板状エアロゲル)で、高い断熱性能に加え超軽量で透明度が高いといった特長を持つ。エアロゲルは固体の中で最軽量・最断熱性の材料であるが、作製には超臨界乾燥装置が必要なため、コストが高いことが課題。今回、ティエムファクトリの独自処方により、特殊装置を使用することなく、高透明度の大判エアロゲルを作製することに成功した。熱伝導率も約0.013W/m.Kと世界最高レベル。透明で軽量なことから、窓や透明部の断熱といった住宅や自動車、保冷物流などへの搭載が期待できる。
両社はこの共同開発を通じて、界面制御技術や機能化学品との融合、ウレタンフォームとの複合化といった「SUFA」の価値向上や事業化を促進する。さらに、無機素材の技術知見やノウハウを生かして、潜在顧客の開拓や幅広い断熱ソリューションの提供につなげる考えだ。
三洋化成は、多様なニーズにスピーディーに応えるためのオープンイノベーションに取り組んでおり、引き続き有望な技術への積極的な投資を通じ、有力事業の支援や新規事業の創製を目指す。