三井化学は14日、同社の液状ポリオレフィン系接着剤「ユニストール」が、シーメンス社(シンガポール)の扱う3Dプリンター製医療用フェイスシールドフレームのコート剤に採用されたと発表した。
デジタルトランスフォーメーションを推進する企業にガイダンスや研修などを提供するコンピテンスセンターであるシーメンス社のAMTCは、コロナ禍での迅速な貢献を行うため、わずか2カ月で医療用フェイスシールドの設計・開発・製造を行い、6月から同国タントクセン病院で試験導入を開始している。
「ユニストール」は、三井化学の独自技術によりポリオレフィンに極性基を導入した変性ポリオレフィンを主成分とする液状プライマー・接着剤。従来、接着・密着しにくいといわれていたポリエチレンやポリプロピレンなどオレフィン系樹脂のみならず、各種エンジアリング樹脂など幅広い素材の塗料または接着剤のプライマー、あるいは接着剤そのものとして使用されている。
今回採用された「ユニストールXPシリーズ」は、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)フリーのヒートシール剤および耐薬品性ドライラミ接着剤。フェイスシールドのフレーム部分にコート剤として活用されている。フレームはAMTCの3Dプリンターで製造されているが、フレーム表面にミクロな空壁ができるため、その細孔にウイルス・細菌が残留する課題があった。
「ユニストール」は、フレーム部分のコーティング剤として、①フレーム素材と良好に密着する性能に加え、②ウイルス・細菌の残留を抑える表面平滑性、③再利用のための消毒を可能にする耐アルコール性、④耐傷つき性、⑤弾性強化、⑥破砕防止、⑦耐低線量UV滅菌性を発現。3Dプリントフレームの表面をより滑らかにするだけでなく、より強く柔軟にし、滅菌処理も可能になったため、再利用性能を大きく向上させることができた。
三井化学は、今後とも新型コロナウイルスの感染拡大防止に対して、製品の提供を通じて、社会課題の解決に貢献していく考えだ。