三井化学・ちとせグループ 2つのバイオ技術を共同で事業化

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2018年10月30日

 三井化学とバイオベンチャー企業群の〝ちとせグループ〟は、「事業と人」を同時に育成する新たなオープンイノベーションの取り組みとして、両社の技術シーズを元に共同で事業開発を行う「0to1(ゼロ・トゥ・ワン)プロジェクト」を開始した。

(左から)ティエラポニカ・有富グレディ社長、三井化学・福田伸常務、ちとせグループ・藤田朋宏CEO、植物ルネサンス・秀﨑友則社長
(左から)ティエラポニカ・有富グレディ社長、三井化学・福田伸常務、ちとせグループ・藤田朋宏CEO、植物ルネサンス・秀﨑友則社長

 29日に都内で行われた両社の会見で、三井化学の植物細胞培養技術と、ちとせグループの微生物活躍型栽培技術をそれぞれ事業化するため、両社はバイオ系新会社「植物ルネサンス」(今年6月設立:秀﨑友則社長)と「ティエラポニカ」(同7月設立:有富グレディ社長)を設立したことを公表した。

 両新会社は、三井化学社員を各社の代表として受け入れ、ちとせグループの100%子会社として立ち上げた。ちとせグループは今後、同グループの人材を新社に派遣するなどして、これまでの知見を生かし2つの新社の事業を軌道に乗せることを目指す。

 三井化学・研究開発本部長の福田伸常務執行役員によると、同社に欠けていた「事業化」への取り組みを大きく加速させる狙いがある。「21世紀になって産業の構造が劇的に変化していく中で、次世代の新事業を育成していかなければいけない」(福田常務)とし、素材メーカーという立場からモノを先に作って後から用途を探す、という従来の手法からの転換を図っていきたい考えだ。

 一方、ちとせグループにとっては、同グループが得意とするバイオ関連事業の事業化を、保有する技術や知見を最大限に利用して行うことができる。ちとせグループ・最高経営責任者の藤田朋宏氏が重要視するのは、「事業化のスピード感」だ。新しいアイデアが出れば、すぐに企業に対しプレゼンを行うなど、モノづくりに先行してアイデアを売り込む。

 極端な話、社内での「会議や打ち合わせの時間がもったいない」という藤田氏によれば、アイデアに足りないものは先方と議論の中で補足していく、もしくは条件が合わなければ他社への提案に切り替えるという。なお、2つの新会社で行うプロジェクトは、2021年3月までの3年間を区切りとしている。

 ちとせグループの藤田氏は3年後について、「最低限の目標として『ゼロをイチ』にする。つまり黒字化し事業を継続的に行える状態にし、確実に利益を出すことを目標にやっていく」との見通しを示した。