日本ユニシスと実証試験、再エネ導入拡大図る
出光興産と日本ユニシスは、EVおよび蓄電池の充放電制御を最適化する実証試験を開始する。建物の電力需要、太陽光発電量、EVの稼働状態、卸電力市場動向などの予測値をもとに、太陽光、電気自動車(EV)、蓄電池を組み合わせたエネルギーマネジメント技術の開発を目指す。EVと蓄電池を組み合わせて最適化するケースは初となり、実証期間は来年3月1日~12月31日を予定している。
今回の実証試験は、出光興産の100%子会社ソーラーフロンティアの国富工場(宮崎県)で実施。同社の保有資産(事務所棟、業務用EV)や製品(蓄電池、EV充放電器、EV充電器、ソーラーカーポートなど)を活用し、事業所に業務用車両、通勤車両に一定程度EVが普及したことを想定する。
このケースでは、充電タイムが集中すると電力需要が一気に高まることが課題になることから、①EVと蓄電池の充放電タイムを複合的に制御し、電力のピークカット、②EV稼働状態予測(日本ユニシスが特許出願済み)を活用した基本料金超過抑制や電力のピークシフト、③小売電気事業者の調達コスト最小化に向け日本卸電力取引所(JEPX)価格予測に基づく充放電のタイミングを制御、といったシステムの構築を目指す。さらに、④ワークプレイスチャージング(通勤者の職場充電)により職場へのEV充電器の普及が想定され、災害時のBCP対策としての活用も図っていく。
一方、最適化制御については、データ取得、予測、最適化/制御計画作成、制御の流れになる。予測については、電力需要予測、太陽光発電予測、EV状態予測、JEPX価格予測などを機械学習で分析。ピークカットによる電量料金削減や小売り電気事業者の調達コストの削減を最適化目的とし、翌日の30分値単位の充放電計画を作成する。ただ、その日の状況に応じた最適化計画を立案する必要があることから、今回の実証では、様々なパターンに対応した最適化計画を検証評価することで、最適化アルゴリズムの改善やサービス化に向けた検討を進めていく予定だ。
両社は、今後のEV/PHEV普及による運輸部門の低炭素化や電力の安定供給、太陽光などの再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を目指す。また、太陽光発電、EV、蓄電池などを組み合わせることで、「エネルギー」と「モビリティ」を起点とし生活の利便性・快適性向上を実現する「まちづくり」に貢献する考えだ。